続々大学教授

予期せぬできごと
表紙
桜井 邦朋著

ISBN4-8052-0711-6

四六判/216頁

\1,600+税



概要

『大学教授』(1991年),『続大学教授』(1992年)といった著書で,同僚「教授」たちの無能ぶりや非常識を批判してきた著者は,その後,自ら勤める大学が引き起こした「未払い金問題」という危機的状況のさなか学長となった.学内サービス業務の最高責任者として体験した大学の現実を,著者自身の自己点検とともに語る.

目次

はじめに

第1章 私にとって学長とは何であったか――三年間を顧みて
 予期せぬできごと
 保護監察≠ニは
 受験生の動向と大学経営
 大学経営の基本方針はどこで決定すべきか――私学の場合

第2章 大学改革とはいうものの――真の改革とは何か
 大学改革≠ニいう魔法のことば
 教員の意識は変えられるか
 教員に任期制の採用を
 真の改革とは――学部・学科間の壁

第3章 大学は自らを律せるか――自己点検・評価ということ
 自己点検・評価の活動は有用か
 自己点検・評価を外部から見る
 自己点検・評価活動の報告――消えた私
 教員は自らを律せるか

第4章 地位を求める人々
 ピーターの法則を教員に当てはめる
 地位と学問的業績との関わり
 競争のない閉じた空間
 大学を活性化させるには

第5章 入試業務は大学最大の行事
 入試は大学にとって大事な事業
 入試業務は教員の義務
 入試業務の負担――このままでよいか
 大学の生き残りを賭けて

第6章 無責任な体制――ことばには責任が
 講義は自分の言いたい放題でよいか
 ことばと責任――教室であじってはならぬ
 誤ったこと≠しないという幻想
 論理的思考ができぬ

第7章 学生を育てる――理解するとはどういうことか
 学生たちの思考力はどう変わったか
 知識と理解は別のことだ
 日本語がだめなら思考力は育たない
 教える≠ニいう言い方の不毛

第8章 教養教育の変質――教養≠ヘ不要か
 教養の危機――教養は不要か
 表から見えないことは無意味か
 外国語教育はいかにあるべきか
 歴史をいかに学ぶか――日本文化をめぐって

第9章 規律と倫理――学問的良心との関わり
 学問研究には責任が伴う
 良心の自由は不自由
 研究をしているという口実
 何を言ってもよいか――失われた倫理

第10章 学長と研究――大学における日常
 公の時間と私の時間
 心の教育を考える
 自分の考えを学生たちに語る
 学問的な研究ができたか

第11章 心と健康――日常の中から
 知らぬ間に溜まるストレス――学長を辞めれば治る
 役職上でポケットに入れたか――疑惑の目
 責任をとるということ
 研究に向かう心――心の健康とは

 あとがき
 注および引用文献