クールルーフガイドブック
都市を冷やす技術
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日本建築学会 編
ISBN978-4-8052-0873-1
B5判/156頁
\2,800+税
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概要
ヒートアイランド緩和には、建物や道路のコンクリートやアスファルトの日射熱吸収、およびその蓄熱を抑え、保水性を高めることが重要である。またそれは、省エネや熱中症対策でもある。クールルーフは、これら問題の改善に有効で、期待される技術であるが、誤った利用により効果が得られなかったり、夏の冷房費は減っても冬の暖房費が増えてしまった、などの混乱も見られる。クールルーフ化を適用する際には、地域や建物の種類に合った、適切な技術選択が大事なのだ。本書は、クールルーフについての概説と、数多くの実証実験から得られた各技術の効果と留意点、良好な施工事例を紹介し、比較検討できるようにした。また、建物の設計者や管理者など、重要な意思決定をする立場の人向けに、各技術の評価方法と簡易評価ツールを示した。
目次
本書作成関係委員
はじめに―ガイドブック作成の目的と利用方法―
『クールルーフガイドブック』の刊行に寄せて
第1章 ヒートアイランド現象とクールルーフ
1.1 クールルーフの概要
1.2 都市の表面性状とヒートアイランド
1.3 パブリックベネフィットとプライベートベネフィット
1.4 パブリックベネフィットとプライベートベネフィットの簡易評価ツール
1.4.1 パブリックベネフィット簡易評価ツールの概要
1.4.2 プライベートベネフィット簡易評価ツールの概要
第2章 高反射率化技術(高反射率塗料、高反射率シート等)の概要と適用事例
2.1 高反射率化技術の概要
2.2 期待される効果と留意点
2.2.1 高反射率化の効果
2.2.2 高反射率化の留意点
(1)反射した日射への配慮
(2)暖房負荷への影響
(3)日射反射率の低下への配慮
(4)高反射率塗料の施工について
(5)コスト、耐久性など
2.3 高反射率塗料の市場動向
2.3.1 公的支援制度
2.3.2 普及状況
2.3.3 施工価格
2.3.4 今後の動向
2.4 高反射率化技術の適用事例
高反射率塗料1 折板屋根 事務所用途建物への適用事例@
高反射率塗料2 折板屋根 事務所用途建物への適用事例A
高反射率塗料3 コンクリート屋根 小学校(廃校)における評価事例
高反射率塗料4 コンクリート屋根 集合住宅の評価事例
高反射率舗装1 工場内道路での評価事例
高反射率舗装2 市道における評価事例
高反射率膜1 大学屋上への設置事例
高反射率膜2 戸建住宅への設置事例
高反射率膜3 壁面への設置事例
高反射率膜4 体育館への適用事例
高反射率膜5 鉄道プラットホームへの適用事例
高反射率膜6 ショッピングモールへの適用事例
高反射率膜7 空港施設の歩道への適用事例
高反射率防水シート1 事務所の改修工事での適用事例
高反射率防水シート2 学校のエコ改修での適用事例
第3章 緑化技術(屋上緑化、壁面緑化、外構緑化等)の概要と適用事例
3.1 期待される効果と留意点
3.1.1 都市緑化の効果
3.1.2 都市緑化の留意点
(1)コスト・管理に関する課題
(2)建物緑化の荷重に関する技術的課題
(3)その他の課題
3.2 建物緑化の技術動向
3.2.1 建物緑化技術の現状
3.2.2 建物緑化に配慮した建築
(1)屋上緑化の荷重は固定荷重で計画
(2)パラペット(防水立ち上がり)、ルーフドレン
(3)防根層、保護層を建築で行う
3.2.3 建物緑化の工法・資材
(1)緑化システム工法・資材
(2)緑化用土壌(培地)
(3)灌水装置とその制御方法
(4)壁面緑化
(5)建物緑化の植物材料
3.2.4 新たに求められる緑化技術
3.3 緑化技術の適用事例
屋上緑化1 ステップガーデンが山を形成
屋上緑化2 築79年、日本最古の屋上緑化
屋上緑化3 障害者施設の屋上に広がるブルーベリー農園
屋上緑化4 300mのハーブガーデンが憩いの空間を演出
屋上緑化5 再開発に伴う5,300uの巨大屋上庭園
屋上緑化6 郷土種を植え、自然生態系に配慮 クリーンセンター
屋上緑化7 改修工事により屋上庭園を実現
壁面緑化1 幅50m! 巨大な壁面緑化で環境教育
壁面緑化2 様々な緑のカーテンを測定により比較
壁面緑化3 樹木の植栽を可能とした壁面緑化技術
壁面緑化4 建材と一体化したつる植物による壁面緑化技術
駐車場緑化1 各種工法の実証実験
駐車場緑化2 様々な舗装効果を実大実験で検証
校庭緑化1 雑木林を保全した学校林で環境教育
校庭緑化2 地域の環境を保全する天然芝のグランド
路面電車の軌道緑化 軌道沿線の環境改善に効果
第4章 蒸発利用技術(保水性舗装、保水性建材、建物散水、打ち水等)の概要と適用事例
4.1 蒸発利用技術の概要
4.2 期待される効果と留意点
4.2.1 蒸発利用技術の効果
4.2.2 蒸発利用技術の留意点
(1)適用場所
(2)維持管理
(3)水源・給水量
(4)散水・給水スケジュール
4.3 蒸発利用技術の市場動向
4.3.1 保水性舗装の市場動向
4.3.2 保水性建材の市場動向
(1)保水タイル・保水平板
(2)保水性石材・保水性粒状材料
(3)保水壁・保水ルーバー
4.3.3 散水、流水技術の市場動向
(1)屋根散水
(2)水盤、打ち水
(3)光触媒、感温性ハイドロゲル等の活用
4.4 蒸発利用技術の適用事例
保水性舗装1 ブロック舗装(給水型) 集合住宅の外構・歩道
保水性舗装2 ブロック舗装(給水型) 小学校・屋上
保水性舗装3 ブロック舗装 公園・園路
保水性舗装4 ブロック舗装(給水型) 屋上庭園の園路
保水性舗装5 アスファルト舗装 車道
散水1 膜構造屋根散水システム 大学体育館
散水2 流水型水盤による散水システム
保水性外壁 パネル外壁(給水型) 雨水利用・太陽光発電・リサイクル材料の総合技術
第5章 クールルーフの性能評価方法
5.1 パブリックベネフィットの評価方法
5.1.1 評価方法の概要
5.1.2 表面熱収支モデルによる顕熱と表面温度の簡易評価
5.1.3 ヒートアイランド緩和効果、外部空間の温熱快適性の簡易評価
5.1.4 測定によるヒートアイランド緩和効果、外部空間の温熱快適性の評価
5.2 プライベートベネフィットの評価方法
5.2.1 戸建住宅におけるプライベートベネフィットの簡易評価ツール
5.2.2 体育館におけるプライベートベネフィットの簡易評価ツール
5.2.3 実測によるプライベートベネフィットの評価
第6章 性能評価のための物性値、パラメータの測定方法
6.1 高反射率化技術に関する測定方法
6.1.1 日射反射率の測定方法
(1)日射計を用いて測定する方法
(2)表面温度を測定し、日射反射率を算出する方法
6.1.2 放射率の測定方法
(1)放射温度計を用いる方法
(2)赤外分光光度計を用いる方法
6.2 緑化技術に関する測定方法
6.2.1 日射反射率・透過率の測定方法
6.2.2 土壌・基盤材料の熱伝導率・熱容量の測定方法
6.2.3 蒸発散特性(蒸発散速度、蒸発効率)の測定方法
(1)重量法
(2)熱収支残差法
(3)SAT計法
(4)土壌水分率計による方法
(5)樹木の蒸散量の推定方法
6.2.4 その他の効果の評価方法
(1)熱環境緩和効果の測定方法(快適性評価)
(2)夜間における冷気のにじみ出し、冷気流の発生に関する評価方法
6.3 蒸発利用技術に関する測定方法
6.3.1 蒸発特性(蒸発速度、蒸発効率)の測定方法
(1)重量法
(2)熱収支残差法
(3)ろ紙法
6.3.2 熱・水分特性値の測定方法
(1)熱伝導率、比熱の測定方法
(2)表面温度の測定方法
(3)保水性能の測定方法
6.3.3 日射反射率の測定方法
6.3.4 暑熱環境緩和効果の測定方法
6.3.5 保水性ブロック舗装の蒸発性能評価方法
(1)蒸発性能評価方法の比較
(2)インターロッキング舗装ブロックの蒸発性能試験方法
おわりに
索引
口絵写真提供者一覧
執筆者一覧
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