誰でも楽しめる星の歳時記

人と宇宙が紡ぐ風物詩
表紙
浅田英夫 著

ISBN978-4-8052-0850-2

A5判/144頁

\1,800+税


概要

星空や暦にまつわる折々の話題を、ひと月ごと歳時記風に紹介する。著者が科学館やプラネタリウムなどで行った講演会で好評を得た講話を厳選し、遠い昔のお話から「はやぶさ」など最新の話題まで、国内外のさまざまな星の話題が、星図や星座絵、写真、イラスト、図表を織り交ぜ満載されている。悠久の時の流れを越えて繋がる“天文楽”の世界を楽しもう。

【まえがき】より
 天文学というと、物理学や数学の難しい世界の学問と思われがちだが、決してそんなことはない。天文学の基本は楽しく星空を眺めること。なぜなら、私たちは太古の昔から星空とともに暮らしてきた。だから、星はさまざまなシチュエーションに登場する。
 たとえば、時の流れを刻むカレンダーは、天体の運行が基になっていて、太陰暦は月の満ち欠けを、太陽暦は太陽の動きを基準にしている。また、古代遺跡の多くは、春分・夏至・秋分・冬至の日を定めるために建てられたものが多い。エジプトのピラミッドは、星の位置を示しているという。
 古典文学にも星が出てくる。清少納言の「枕草子」には「星は昴」という有名なくだりがある。藤原定家の「明月記」には、たくさんの天文現象が記述されている。音楽の世界も、星や月をモチーフにしたものが多い。ホルストの組曲「惑星」や、ドビュッシーの「月の光」などは有名だ。
 このように、星空や宇宙は、天文学や数学・物理学だけでなく、暦学、考古学、歴史学、文学、音楽、哲学まで、さまざまな学問とリンクしていることがわかる。
 本書は、星空や宇宙を、生活に密着したもっと身近な角度からとらえていただきたいと、天文学を“天文楽”という切り口で、さまざまな定説・俗説・仮説をおりまぜながら、歳時記風の読み物にまとめてみた。
 悠久の時の流れを越えてつながる“天文楽”の世界を楽しみ、本当の星空を見上げていただければ幸いである。

著者紹介
1953年、三重県四日市市に生まれる。学生時代は、名古屋市科学館の山田卓氏の下で天文普及活動を行う。天体望遠鏡メーカー勤務の後、1992年に退職後フリーとなり、星を見上げる楽しみを広めるべく、あさだ考房を設立。天文・科学雑誌や単行本、プラネタリウムシナリオの執筆、天文・宇宙関連講座の講師、プラネタリウム解説・テレビ出演等を中心に活動している。最近は、生涯教育を意識したプラネタリウム運営支援、プラネタリウム解説指導も行っている。名古屋市在住。

目次

まえがき

●星空を眺める前に
星と太陽と惑星の動き
季節の星座と星占いの星座
月は西から東に動く
星の名前あれこれ

●星空の歳時記
■1月 睦月
 シリウスの謎
 除夜の鐘を聴きながら
 初日の出を愛でる
 「明月記」と超新星爆発

■2月 如月
 煌めく冬の星たち
 ベテルギウスが爆発する?!
 ウルトラマンの故郷〜M78
 オリオン座とピラミッドの謎

■3月 弥生
 ひな祭り星
 春本番〜春分の日
 季節の節目〜二十四節気
 太陽暦の登場

■4月 卯月
 春の大三角とダイヤモンド
 星座の履歴書
 スフィンクスの謎
 太陽が食べられる!〜日食

■5月 皐月
 北斗七星物語
 北斗七星と北極星
 中国で生まれた星座たち
 南十字星は何処?

■6月 水無月
 春の大曲線
 昼間が一番長い日〜夏至
 縄文時代の暦は太陽暦?!
 君を忘れない〜はやぶさ君

■7月 文月
 夏の大三角
 七夕まつり
 日本古来の暦「旧暦」
 月への道〜アポロ計画

■8月 葉月
 銀河鉄道に乗って
 天の川の正体
 夏の風物詩 ペルセウス座流星群
 おーい火星人〜火星大接近

■9月 長月
 中秋の名月を愛でる
 月の呼び名
 月のミステリー
 月を食べるのは誰?〜月食

■10月 神無月
 星空の道しるべ
 幸せを運ぶ秋の星座たち
 アンドロメダ銀河
 宵の明星・明けの明星〜金星

■11月 霜月
 古代エチオピア王家の物語
 彗星の謎
 流星の謎
 しし座流星雨

■12月 師走
 復活の日 冬至とクリスマス
 ベツレヘムの星
 「星はすばる」清少納言が愛した星
 人はなぜ星を見上げるの?

●星空の資料
東西の星の呼び名
二十八宿
全天88星座リスト

あとがき