望遠鏡400年物語

大望遠鏡に魅せられた男たち
表紙
フレッド・ワトソン 著

長沢 工・永山淳子 訳

ISBN978-4-8052-0811-3

四六判/400頁

\2,800+税

『望遠鏡400年物語』年表



世界天文年2009
日本委員会公認書籍

概要

望遠鏡はその400年間の歴史において、眼鏡用の2枚のレンズを取り付けた素朴な筒から、巨大な構造物へと進歩をとげた。各時代の巨大望遠鏡は宇宙観に変革をもたらしながら、天文学に興味のない人々にまで普遍的な注目を集めさせ、望遠鏡製作に多くの才能ある人々を引き入れた。それらはまさに、それぞれの時代の宇宙の謎と最先端の技術との狭間に位置している。

望遠鏡の歴史には、科学界で最も多彩な人物の非凡な才能と不屈の精神の物語がふんだんに織り込まれている。それは古代に始まり、17世紀、オランダで外交危機のまっただ中に、記録に残る最初の望遠鏡が突如出現し、一気に勢いを得た。その後、天文学者の要求は、研究の道具としてもっと高精度に、高性能に、そしてもっと大きくと膨らみ続けていった。

本書は、ティコ、ガリレオ、ケプラー、ニュートン、グレゴリー、ハーシェル、フラウンホーファー、パーソンズ、ナスミス、ハギンス、シュミット、ヘールなど、光学望遠鏡に変革をもたらした人々のエピソードを語りながら、天文学の歩みと望遠鏡400年の歴史を辿っている。アングロオーストラリア天文台の天文学者フレッド・ワトソンの語り口は、自身の体験も含めて彼独自のスタイルを示している。

著者
フレッド・ワトソン(Fred Watson)は、オーストラリアのアングロオーストラリア天文台の管理天文学者(Astronomer-in-Charge)で、オーストラリア最大の光学望遠鏡の運用責任者である。また、国際的な視線速度掃天計画のプロジェクト・マネージャーでもある。New Scientist をはじめ、Sky & Telescope、Astronomy Now といった科学誌・天文誌に多くの解説記事を寄稿し、放送出演も多く、一般への天文学普及活動によりデヴィッド・アレン賞(David Allen Prize)やエウレカ賞(Eureka Prize)という権威ある賞を受賞している。著書には、Why Is Uranus Upside Down? がある。

目次

プロローグ
第1章 強力な望遠鏡――新たな千年紀に向けての大胆な一歩
 見えないものを見る/強力な望遠鏡/熱病にうなされて
第2章 デンマークの目――望遠鏡の幕開け
 ヴェーン/遺産
第3章 謎――古代望遠鏡の囁き
 肉眼にまとうもの/伝説とレンズ
第4章 曙光――望遠鏡の出現
 主張と反論/公然たる秘密
第5章 開花――天才の関わり
 星界の報告/ティコの弟子
第6章 進化――望遠鏡の目覚ましい進歩
 星に満ちた円筒/技術革新/時代遅れの無用の長物
第7章 反射望遠鏡について――望遠鏡製作のより良い道
 想像上の望遠鏡
第8章 鏡の像――反射望遠鏡の実現
 天才と技能/理論の完成
第9章 スキャンダル――法廷に持ち込まれた望遠鏡
 成功と影/際限なき対立
第10章 天へ至る道――反射望遠鏡時代の到来
 天の音楽家/まさに最高/大飛躍
第11章 感心できない天文学者たち――望遠鏡のもたらすさまざまな運命
 神童/全面戦争
第12章 レビヤタン――金属鏡のモンスター
 渦巻構造/慰めと喜び
第13章 悲嘆の種――南天大望遠鏡
 エンジニアリングの傑作/退歩と災難
第14章 夢の光学――巨大屈折望遠鏡の完成
 星の光の選り分け/記録を破る人々
第15章 銀とガラス――20世紀の望遠鏡
 まったく星雲状のもの/さらに広い視野を求めて/パロマーとそれを越すもの/工場の床で
第16章 銀河とともに歩む――500年後へ向かって
 宇宙にある望遠鏡
エピローグ――2108年9月21日

原著

Fred Watson: STARGAZER ― The Life and Times of the Telescope (Allen & Unwin, 2004)