自然保護

その生態学と社会学
表紙
吉田正人著

ISBN978-4-8052-0790-1

A5判/160頁

\2,000+税



概要

生物多様性など環境問題の新しいキーワードを整理、地球上で生きる上で誰もが教養として知っておくべき「自然保護のための生態学」をわかりやすく解説した。外来種の駆除や自然再生などの話題もとりあげ、自然保護の現場の社会問題や法制度についても興味をもって読める内容である。教養課程の生態学の教科書としても最適。

目次

はじめに
第1章 自然保護の歴史と概念
T 自然保護の概念
1. 保存と保全
2. 持続可能な開発
3. 生物多様性
4. 自然再生・復元(R型自然保護)
U 米国の自然保護の歴史
1. 保存主義(Preservation, Protection)
2. 保全主義(Coservation)
3. 環境主義(Environmentalism)
V 日本の自然保護の歴史
1. 明治の近代化と自然保護
2. 尾瀬から始まった戦後の自然保護
3. 風景・学術的価値の保護から,生態系・生物多様性の保護へ

第2章 森林生態系の保全と再生
T 森林生態系のしくみ
1. 森林の地理的分布
1) 地球上の森林の分布
2) 日本における森林の分布
2. 森林の空間構造と時間的変化
U 森林生態系の保全と再生
1. 国有林の拡大造林政策
2. 白神・知床をきっかけとした政策転換
3. 保護林の再編と緑の回廊
4. 愛知万博をきっかけとした里山の評価
5. 森林の保全と再生に係る法制度

第3章 河川・湖沼生態系の保全と再生
T 河川・湖沼の生態
1. 河川
1) 世界と日本の河川
2) 河川の空間的変化
3) 河川の環境と生物
2. 湖沼
1) 世界と日本の湖沼
2) 湖沼の時間的変化
3) 湖沼の環境と生物
3. 汽水域
1) 日本の汽水域
2) 汽水域の空間的・時間的変化
3) 汽水域の生物
U 河川・湖沼の保全と再生
1. ダム等による河川生態系への影響
2. 川辺川ダムが河川・海域に与える影響
3. 長良川河口堰問題
4. 河川・湖沼を保全・再生する法制度
自然復元の7つの条件

第4章 海岸・沿岸域の保全と再生
T 海岸・沿岸域の生態
1.海岸
2.沿岸域
U 海岸・沿岸域の生態系の保全と再生
1. 干潟の保全と再生
1) 有明海諫早湾の干拓
2) 東京湾三番瀬の再生
2. サンゴ礁・海草藻場の保全と再生
1) 沖縄島辺野古のサンゴ礁と海草藻場
3. 海岸と沿岸域を保全する法制度

第5章 生物多様性の保全と再生
T 生物多様性とは?
1. 生物多様性の定義
1) 生物種の多様性
2) 生物種内の多様性
3) 生態系の多様性
2. 生物多様性の価値
U 生物多様性の危機
1. レッドデータブック
1) 世界のレッドデータブック
2) 日本のレッドデータブック
2. 絶滅の回避と保全生物学
1) 衰退しつつある個体群と決定論的要因
2) 小さな個体群と確率的要因
3) 絶滅を防ぐのに必要な保護地域の条件
V 野生生物を保護するための法制度
1. 種の保存法と希少野生動植物保存条例
1) 種の保存法
2) 地方自治体の希少野生動植物保護条例
2. 特定外来生物法
3. 自然再生推進法

第6章 国際条約による生物多様性の保全
T 人類共通の財産を守る〜1970年代の国際条約
1. ラムサール条約
2. 世界遺産条約
3. ワシントン条約
4. ボン条約
U 生物多様性の持続可能な利用と利益の公正な配分〜1990年代の国際条約
1. 生物多様性条約
2. 生物多様性国家戦略
3. ミレニアム生態系評価

最終章 地球の上でよりよく生きるには〜環境倫理
T 地球の上でよりよく生きるには
1. 限りある地球
2. 持続可能な開発・持続可能な社会
U 地球の上でくらし続けるための環境倫理
1. 世代内倫理
2. 世代間倫理
3. 生物間倫理
V おわりに〜知識から行動へ

参考文献
団体リスト
索引