きのこを利用する

病気の治療・予防から環境改善まで
A Short Guide to Mushroom Science and Biotechnology
表紙
江口文陽 著

ISBN4-8052-0773-6

四六判/168頁

\1,200+税


概要

カワラタケ、ヒメマツタケ(アガリクス茸)、ハタケシメジなどの各種機能性効果は、キノコの持つ潜在力を示しており、生活習慣病に対する予防や治療にもキノコは力を発揮している。また、注目を集めたスギヒラタケの毒性には謎の部分も多い。シイタケ、エノキタケなど栽培法の確立した食材キノコにも優秀な健康食品としての一面があり、自然界では分解者としての役割を担っているキノコを紙づくりに利用する技術や、有害物質を分解する技術も盛んに研究され実用化に至り、種々の環境問題へキノコを役立てる研究も進んでいる。その結果、多くの種類のキノコが人工栽培されるようになったが、それらキノコの科学技術を一般向けに紹介した本は少ない。本書はそれらキノコの多面的性質と最新キノコ応用学の現状を報告する。

目次

第1章 夢広がるキノコの世界
 1.1 キノコって何?
 1.2 キノコは植物? それとも……
 1.3 キノコと植物の違い
 1.4 キノコの生活
 1.5 キノコの体
 1.6 キノコの仲間
    光るキノコの仲間
    天気を知るキノコ
    殺虫剤の効果を持つキノコ
    キノコから生えるキノコ
    ミルクが出てくるキノコ
    ゴムのような弾力のあるキノコ
    バレーボールのようなキノコ
    食用キノコと毒キノコ
 1.7 私たちの暮らしとキノコ
 1.8 キノコの歴史
 1.9 キノコと健康
    健康に役立つキノコの成分
    免疫を高めるキノコの効果
    生活習慣病への効果
    キノコの鮮度と機能性成分の違い
    毒キノコが薬に?
 1.10 キノコを利用した産業
    キノコ栽培の歴史
    原木栽培と菌床栽培
    キノコの栽培研究
    キノコとバイオテクノロジー
 1.11 キノコと環境
    森や作物を育てるキノコ
    キノコで環境にやさしい紙づくり
    キノコでダイオキシンを分解

第2章 健康な身体づくりのためのキノコの科学
 2.1 キノコには機能性効果があるのか
 2.1 病気の予防や治療にキノコは役立つのか
 2.3 キノコの機能性成分の本体とは
 2.4 ベッドサイド医療へのキノコの活用
 2.5 機能性キノコの栽培要点

第3章 病気の予防と治療へのキノコの働き
 3.1 アレルギー疾患とキノコ
    アトピー性皮膚炎に対する効果
    自己免疫病気の現況と治療
    リウマチ・関節炎の改善効果
 3.2 腎機能疾患とキノコ
    腎機能疾患の現況と治療
    腎機能不全(糸球体腎炎)改善効果
 3.3 抗腫瘍活性
 3.4 血圧降下作用
 3.5 抗糖尿病効果
    糖尿病の現況と治療
    インスリン非依存性糖尿病モデルラットによる糖尿病改善
 3.6 抗高脂血効果
 3.7 認知症改善作用

第4章 スギヒラタケの毒性と予防対策
 4.1 毒性物質探索
 4.2 腎機能障害とスギヒラタケとの関係
 4.3 予防対策
 4.4 風評被害のない正しい情報認識のために

第5章 キノコ産業の産学連携による活性化
 5.1 製造を基軸とした産学連携
 5.2 公的研究機関の有効活用
 5.3 マッチングがカギ
 5.4 マッシュ・テック株式会社とは
 5.5 産学連携の具体例