分子モデリング概説

量子力学からタンパク質構造予測まで
表紙
A.R.リーチ著 江崎俊之訳

ISBN4-8052-0752-3

B5判/760頁

\16,000+税

2004.11

概要

第1部は基本的な二つの手法(量子力学と分子力学)について解説. 第2部ではエネルギー極小化,分子動力学,モンテカルロ法,配座解析等を取り上げ, 第3部では具体的応用として,自由エネルギー計算,化学反応,新しい機能性分子の設計などをテーマとする. 分子モデリングの諸手法を理論面に重点を置いて解説した教科書.

目次

第2版への序文
初版への序文
記号と物理定数
第1章 分子モデリングにおける有用な概念
1.1 はじめに
1.2 座標系
1.3 ポテンシャルエネルギー曲面
1.4 分子グラフィックス
1.5 表面
1.6 コンピュータのハードウェアとソフトウェア
1.7 長さとエネルギーの単位
1.8 分子モデリングの文献
1.9 インターネット
1.10 数学的概念
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引用文献
第2章 計算量子力学への序論
2.1 はじめに
2.2 一電子原子
2.3 多電子原子と分子
2.4 分子軌道計算
2.5 ハートリー-フォック方程式
2.6 基底系
2.7 adt initio量子力学を利用した分子的性質の計算
2.8 近似分子軌道理論
2.9 半経験的方法
2.10 ヒュッケル法
2.11 半経験的方法の性能
付録2.1 計算量子化学で一般に使われる略語と頭字語
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引用文献
第3章 高等なadt initio法,密度汎関数理論および固体量子力学
3.1 はじめに
3.2 開殻系
3.3 電子相関
3.4 adt initio計算の実行に伴う問題点
3.5 エネルギー成分分析
3.6 原子価結合理論
3.7 密度汎関数理論
3.8 量子力学的方法による固体研究
3.9 量子力学の将来:理論と実験の協調
付録3.1 ブロッホの定理を満たす波動関数の別の表し方
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引用文献
第4章 経験的力場モデル:分子力学
4.1 はじめに
4.2 分子力学力場の一般的特徴
4.3 結合伸縮項
4.4 変角項
4.5 ねじれ項
4.6 広義ねじれ角と面外変角運動
4.7 交差項:クラスI,IIおよびIII力場
4.8 非結合相互作用への序論
4.9 静電相互作用
4.10 ファンデルワールス相互作用
4.11 経験的ポテンシャルにおける多体問題
4.12 有効対ポテンシャル
4.13 分子力学における水素結合
4.14 力場モデルによる液体水のシミュレーション
4.15 融合原子力場と簡約表現
4.16 分子力場エネルギー関数の微分
4.17 力場を使用した熱力学的性質の計算
4.18 力場のパラメトリゼーション
4.19 力場パラメータの移植性
4.20 非局在化したπ系の取扱い
4.21 無機分子の力場
4.22 固体系の力場
4.23 金属と半導体の経験的ポテンシャル
付録4.1 2個のドルーデ分子間の相互作用
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引用文献
第5章 エネルギーの極小化と関連手法によるエネルギー曲面の探索
5.1 はじめに
5.2 非微分極小化法
5.3 微分極小化法への序論
5.4 一次極小化法
5.5 二次微分法:ニュートン-ラフソン法
5.6 準ニュートン法
5.7 どの極小化法を使用すべきか?
5.8 エネルギー極小化法の応用
5.9 遷移構造と反応経路の決定
5.10 固体系:格子静力学と格子動力学
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引用文献
第6章 コンピュータシミュレーション法
6.1 はじめに
6.2 簡単な熱力学的性質の計算
6.3 位相空間
6.4 コンピュータシミュレーションの実際的側面
6.5 境 界
6.6 平衡化の監視
6.7 ポテンシャルの切捨てと最小影像コンベンション
6.8 遠距離力
6.9 シミュレーション結果の解析と誤差の推定
付録6.1 統計力学の基礎
付録6.2 熱容量とエネルギーのゆらぎ
付録6.3 ビリアルへの実在気体の寄与
付録6.4 並進粒子を中心の箱へ戻すのに使われる公式
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引用文献
第7章 分子動力学シミュレーション法
7.1 はじめに
7.2 簡単なモデルによる分子動力学の説明
7.3 連続ポテンシャルを使った分子動力学
7.4 分子動力学シミュレーションの準備と実行
7.5 拘束動力学
7.6 時間依存的性質
7.7 定温と定圧での分子動力学
7.8 分子動力学への溶媒効果の組込み:平均力ポテンシャルと確率動力学
7.9 分子動力学シミュレーションでの配座変化
7.10 両親媒性鎖状分子の分子動力学シミュレーション
付録7.1 分子動力学におけるエネルギーの保存
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引用文献
第8章 モンテカルロシミュレーション法
8.1 はじめに
8.2 積分による性質の計算
8.3 メトロポリス法の理論的背景
8.4 メトロポリスモンテカルロ計算の実行
8.5 分子のモンテカルロシミュレーション
8.6 高分子のモンテカルロシミュレーションで使われるモデル
8.7 バイアス型モンテカルロ法
8.8 準エルゴード問題への取組み:
   Jウォーキング法とマルチカノニカルモンテカルロ法
8.9 異なる集団からのモンテカルロサンプリング
8.10 化学ポテンシャルの計算
8.11 配置バイアス型モンテカルロ法
8.12 ギブス集団モンテカルロ法による相平衡のシミュレーション
8.13 モンテカルロか,それとも分子動力学か?
付録8.1 Marsagddaの乱数発生器
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引用文献
第9章 配座解析
9.1 はじめに
9.2 配座空間の系統的探索法
9.3 モデル組立てアプローチ
9.4 ランダム探索法
9.5 距離幾何学法
9.6 シミュレーション法を利用した配座空間の探索
9.7 どの配座探索法を使用すべきか? 各種アプローチの比較
9.8 標準的方法の変法
9.9 大域的エネルギー極小点の検出:進化的アルゴリズムと焼きなまし
9.10 制限分子動力学と焼きなましによるタンパク質構造の解明
9.11 構造データベース
9.12 分子のあてはめ
9.13 クラスター分析とパターン認識
9.14 データセットの次元の縮約
9.15 配座空間の被覆:ポーリング
9.16 「古典」最適化問題:結晶構造の予測
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引用文献
第10章 タンパク質構造の予測,配列解析およびタンパク質の折りたたみ
10.1 はじめに
10.2 タンパク質構造の基本原理
10.3 第一原理法によるタンパク質構造の予測
10.4 比較モデリングへの序論
10.5 タンパク質の配列並置
10.6 比較モデルの構築と評価
10.7 スレッディング法によるタンパク質構造の予測
10.8 タンパク質構造予測法の比較:CASP
10.9 タンパク質の折りたたみと変性
付録10.1 生命情報科学でよく使われる用語,略語および頭字語
付録10.2 生命情報科学でよく使われる配列データベースと構造データベース
付録10.3 1 PAMに対する変異確率行列
付録10.4 250 PAMに対する変異確率行列
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引用文献
第11章 分子モデリングにおける四つの挑戦:
  自由エネルギー,溶媒和,反応および固体欠陥
11.1 自由エネルギー計算
11.2 自由エネルギー差の計算
11.3 自由エネルギー差の計算法の応用
11.4 エンタルピー差とエントロピー差の計算
11.5 自由エネルギーの分割
11.6 自由エネルギー計算の潜在的な落し穴
11.7 平均力ポテンシャル
11.8 近似/高速自由エネルギー法
11.9 溶媒の連続体モデル
11.10 溶媒和自由エネルギーへの静電寄与:ボルンモデルとオンサーガーモデル
11.11 溶媒和自由エネルギーへの非静電寄与
11.12 非常に簡単な溶媒和モデル
11.13 化学反応のモデリング
11.14 固体欠陥のモデリング
付録11.1 熱力学的積分を利用した自由エネルギー差の計算
付録11.2 低成長法を利用した自由エネルギー差の計算
付録11.3 線形応答法による自由エネルギー差計算で使われるZwanzig式の展開
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引用文献
第12章 分子モデリングと化学情報解析学を利用した新規分子の発見と設計
12.1 創薬における分子モデリング
12.2 分子のコンピュータ表現,化学データベースおよび2D部分構造探索
12.3 3Dデータベース探索
12.4 三次元薬理作用団の誘導と利用
12.5 3Dデータベースのデータ源
12.6 分子のドッキング
12.7 3Dデータベース探索とドッキングの応用
12.8 分子類似性とその探索
12.9 分子記述子
12.10 多様性に富む化合物集合の選択
12.11 構造に基づくde novoリガンド設計
12.12 定量的構造活性相関
12.13 部分最小二乗法
12.14 コンビナトリアルライブラリー
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引用文献
訳者あとがき
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