近年,BSEやSARS,鳥インフルエンザなど,動物から人間にうつる病気「人獣共通感染症(動物由来感染症)」が頻発している.
なぜこれら感染症が急増してきたのか,病原体は何か,どういう病気が何の動物からどんなルートで感染し,その伝播を防ぐために私たちはどう対処したらよいのか.
最新の話題と共にわかりやすく解説する.
目次
序章 二〇〇X年、日本でペスト大流行?
プレーリードッグによる野兎病持ち込みの危機
プレーリードッグによるペスト持ち込みの危機
プレーリードッグの輸入禁止
二〇〇X年、日本でペスト大流行?
起こってはいけないシナリオを回避するために
第1章 人獣共通感染症と動物由来感染症
あなどれない感染症
天然痘はなぜ撲滅できたか
ヒトと動物が同じ病気になる
人獣共通感染症と動物由来感染症
なぜ今、人獣共通感染症なのか?―SARS、鳥インフルエンザ、そして……
第2章 バラエティに富む人獣共通感染症の病原体
寄生虫
原虫
真菌
細菌
クラミジア/リケッチア
ウイルス
タンパク質
第3章 人獣共通感染症の動物宿主
宿主とは?
動物宿主のグループ分け
ペット
エキゾチックペット
野生動物
都市型野生動物
学校飼育動物
家畜と魚介類
展示動物
実験動物
第4章 ヒトと動物との距離と病原体の伝播
ヒトと動物との距離と関係
動物の家畜化
野生動物と人間
都市型野生動物と人間
野生動物との距離を一気に縮めるエキゾチックペット
ヒトと動物との距離と病原体の伝播
第5章 直接伝播と感染の予防
接触による感染とその予防
咬傷からの感染とその予防
引っ掻き傷からの感染とその予防
糞口感染とその予防
第6章 間接伝播と感染の予防
6-1 ベクターが媒介する人獣共通感染症とその予防
アルボウイルス感染症
パナマ運河と熱帯感染症
蚊が媒介する日本脳炎、犬フィラリア、ウエストナイル熱
ノミが媒介するペストやリケッチア感染
ダニが媒介するライム病、バベシア症、日本紅斑熱
ハエが媒介する東洋眼虫症
ベクター対策
6-2 食品が媒介する人獣共通感染症とその予防
獣肉が媒介する有鉤嚢虫症、トリヒナ症
新しい人獣共通感染症、E型肝炎
乳が媒介するブルセラ症
魚介類が媒介する寄生虫症
行き過ぎたグルメブームと人獣共通感染症
6-3 環境が媒介する人獣共通感染症とその予防
キタキツネとエキノコックス症
アライグマ回虫
クリプトスポリジウム原虫による水道水汚染
水系汚染とレプトスピラ症
6-4 医療行為がもたらす感染
医療行為による伝播
輸血によるシャーガス病、バベシア症
6-5 ヒト→動物→ヒトの伝播―再帰性人獣共通感染症
第7章 新興感染症と種の壁
7-1 新興感染症
新興感染症出現の要因
コウモリ由来の新興感染症
7-2 種の壁
種の壁の崩壊
AIDS
スクレイピー→BSE→変異型クロイツフェルト・ヤコブ病
第8章 人獣共通感染症の海外事情と国内事情
8-1 海外で問題になっている人獣共通感染症
狂犬病
旅行者下痢症
コウモリが原因となった狂犬病類似感染症
バイオテロと疑われたサル痘
8-2 海外情報の入手
8-3 国内で感染する海外の人獣共通感染症
日本に人獣共通感染症が少ない理由
今後心配される急増
第9章 ペストと狂犬病の撲滅―二つの大きな足跡から学ぶこと
9-1 ペストの流行と撲滅
野生齧歯類→ノミ→ヒトへの伝播
世界史上三回の大流行
日本への侵入と流行
徹底的な病原動物対策
9-2 狂犬病の増加と撲滅
海外では一五分に一人が死亡している狂犬病
病原動物対策の成功
9-3 国外からの人獣共通感染症の侵入を防ぐ―狂犬病をモデルとして
第一の柱―国外からの狂犬病侵入阻止
第二の柱―感染の拡大阻止と感染動物の淘汰
再び日本で発生の危機―おろそかになってきたワクチン接種
第10章 ヒトと動物の共存のために
10-1 感染のハイリスク集団
ペット愛好家
職業上の危険性
レクリエーション
10-2 易感染性宿主と日和見感染
日和見感染とは
易感染性宿主のためのペット飼育ガイド
10-3 人獣共通感染症対策―それぞれの役割と協力
行政機関の役割
研究機関の役割
医療機関と動物病院の役割
飼い主の役割
飼育しないという責任
おわりに―安全が生んだ危険≠フパラドックスと、動物との共生
あとがき
付録1 国内で気をつけたい主な人獣共通感染症リスト
付録2 今後日本への侵入が危惧される人獣共通感染症リスト
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