軌道決定の原理
彗星・小惑星の観測方向から距離を求めるには
概要
彗星や小惑星の軌道決定には,ガウスの時代から様々な方法が考えられているが,
そのアルゴリズムが複雑なため,入門者には理解しにくい場合が多い.
本書で著者は,高性能になったパソコンの使用を前提として,
多少計算量が増えても軌道決定までの道筋が明確な独自の方法を提案し,
計算例を示して具体的に解説する.
目次
1 計算の前に
1.1 はじめに
1.2 軌道の形と軌道要素
1.2.1 軌道の形
1.2.2 黄道直交座標系
1.3 赤道直交座標系
2 二次曲線を3点から決める
2.1 軌道の半直弦、離心率、近日点偏角
2.2 偏角の差による表現
2.3 近日点通過以後の経過時間の計算
2.3.1 楕円軌道の場合
2.3.2 双曲線軌道の場合
2.3.3 放物線軌道の場合
2.3.4 τ1、τ2、τ3の計算手順
2.4 軌道上の2点間を通過する時間
2.5 空間の3点から各種パラメータの決定
2.6 軌道決定の原理
3 近似距離の推定
3.1 Δ2とr2の関係式(1)
3.2 Δ2とr2の関係式(2)
3.2.1 幾何学的条件
3.2.2 c1/c2とc3/c2の検討
3.2.3 Δ2とr2の近似的決定
3.3 推定距離Δ1、Δ2、Δ3の計算手順
3.4 近似距離推定の計算実例
4 Δ1、Δ2、Δ3に対する補正方程式
4.1 補正方程式の形
4.2 楕円、双曲線、放物線軌道に対する(∂τj/∂Δi)
4.2.1 楕円軌道の場合
4.2.2 双曲線軌道の場合
4.2.3 放物線軌道の場合
4.3 (∂τj/∂Δi)の計算手順
4.4 楕円軌道の計算実例
5 軌道要素の決定
5.1 近日点距離および近日点通過時刻の計算
5.2 黄道座標への変換
5.3 軌道面法線の方向余弦
5.4 残りの軌道要素の計算
5.5 軌道要素の計算手順
5.6 軌道要素の計算実例
6 天体位置の不確かさ
6.1 軌道精度決定の考え方
6.2 点の位置の不確かさ
6.3 ローカル座標
6.4 連立一次方程式の解の不確かさと条件数
6.5 天体までの距離Δ1、Δ2、Δ3の不確かさ
6.6 太陽から見た天体位置の不確かさ
6.7 軌道の不確かさを求めるのに必要な分散、共分散
7 軌道要素の不確かさ
7.1 離心率、長半径、近日点偏角、近日点通過時刻の分散
7.2 軌道傾斜角、昇交点黄経、近日点引数の分散
7.3 軌道要素分散の計算実例
8 円軌道の決定
8.1 円軌道決定の原理
8.2 軌道半径aに対する移動時間τ
8.3 仮定軌道半径aに対する補正
8.4 円軌道の半径aを求める計算手順
8.5 軌道要素の計算
9 放物線軌道の決定
9.1 放物線軌道決定の原理
9.2 時刻t2に対する計算上の観測方向
9.3 放物線軌道の計算実例
9.4 補正方程式作成に必要な微分方程式
9.5 放物線軌道の計算実例(つづき)
9.6 逐次近似と軌道要素の決定
10 観測点の位置
10.1 日心直交座標
10.2 地球重心の位置
10.3 地球重心に対する観測点の位置
10.4 グリニジ恒星時
10.5 観測点位置の計算実例
10.6 計算試行用データ
付録A 軌道パラメータ導出の詳細
A.1 l、e、θ0の計算手順
A.2 c1/c2、c3/c2の計算
A.3 2点を通る放物線の決定
付録B 補正方程式の係数の計算
B.1 予備計算
B.2 H、L、C、S、Qの微分
B.3 θ0、θij、fiの微分
B.4 離心率e、半直弦l、平均運動nの微分
B.5 離心近点角ujの微分
B.5.1 楕円軌道の場合
B.5.2 双曲線軌道の場合
付録C 方向余弦の演算
C.1 方向余弦の定義
C.2 二つの方向余弦の関係
C.3 P1から角度f1、P2から角度f2離れた点Qの方向余弦
付録D 大円の極の位置の不確かさ
D.1 球面上の点の位置の不確かさ
D.2 大円の極の不確かさ
D.3 大円の極Qの位置の分散を求める手順
あとがき
索引
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