<鉄鋼技術の流れ 1>

高炉製銑法

表紙
羽田野道春著
日本鉄鋼協会監修

ISBN4-8052-0619-5

A5判/144頁

\2,400+税



概要

戦後における高炉操業形態の変遷と,それに関連する高炉内諸反応についての研究史を総括し,その反省の中から現在および将来の検討課題を抽出した.特に,高炉内反応を操業(装入,送風)条件と関連づけてまとめることにより,現実の高炉操業に対し,一つの指針を提供することを目標とした.

目次

1.高炉の基本的機能
 1.1 高炉とは?
 1.2 高炉の基本的機能
 1.3 コークスの多重的機能
  1.3.1 還元機能
  1.3.2 熱交換機能
  1.3.3 浸炭機能
  1.3.4 エネルギー源
 1.4 高炉は不均一分布系である
  1.4.1 不均一分布であることの利点

2.高炉の通気性
 2.1 通気性の概念の導入経緯(第二次大戦前)
 2.2 第二次大戦中及び戦後復興期
 2.3 世界における化学工学的アプローチの進展
 2.4 日本の状況(1950年代,60年代)
 2.5 解体調査と2次元ガス流れ解析

3.高炉プロセス理論の変遷と現況
 3.1 総括収支から部分収支へ
 3.2 微分収支モデルの展開
 3.3 わが国における製銑理論の進展
 3.4 現況と今後の課題

4.レースウェイ −認識の変遷と現況−
 4.1 羽口先の力学的現象に関する認識の変遷
 4.2 レースウェイとその近傍でのガス流れ
 4.3 レースウェイの数学的モデル

5.Si移行反応理論の変遷
 5.1 19世紀末から20世紀初頭におけるSi移行反応理論
 5.2 Wustの新説
 5.3 旧ソ連におけるSiO経由説の提唱
 5.4 SiO経由説の普及
 5.5 日本の状況
 5.6 SiO経由Si移行理論の確立
 5.7 高炉内Siの2次元分布

6.中心流操業思想の歴史と現況
 6.1 炉芯の認識
 6.2 1940年代の展開
 6.3 中心流操業思想の誕生
 6.4 日本の状況
 6.5 中心流操業思想の形成
 6.6 コークス中心装入技術の開発
 6.7 今後の課題

7.わが国における製銑技術の歴史と今後の課題
 7.1 はじめに
 7.2 日本の製銑技術に関する二つの「歴史書」
 7.3 日本の整粒技術の歴史と『Josephの勧告』
 7.4 自溶性焼結鉱の系譜と学振54委員会
 7.5 『Josephの勧告』とその後の展開 −館先生の「恩返し」論−
 7.6 基幹技術の導入史とその評価
 7.7 化学工学的アプローチの系譜
 7.8 産学共同の「高炉反応部会」の設立とその後の展開
 7.9 シミュレーションモデルの課題
 7.10 設備技術の“自主的発展”
 7.11 高炉の基本機能に対する向上の余地
 7.12 “超党的”連携の必要性
 7.13 おわりに

資料
 資料1 高炉の高圧操業 八木順一郎・鞭 巌
 資料2 充填層内における微粉を伴った気体の2次元流動特性
     山岡秀行
 資料3 高炉内のSi移行に関する熱力学的考察
     徳田昌則・槌谷暢男・大谷正康