ニューエンジニアリングライブラリー
改訂・増補

自然浄化処理技術の実際

−地域環境の保全−
表紙
日本技術士会監修
鵜飼信義著
依田 亮著

ISBN4-8052-0603-9

A5判/214頁

\3,200+税



概要

人間が送り出す廃棄物によって汚染された環境を,固有の代謝機能を変えて新事態に順応している微生物群によって浄化させる技術が,自然浄化処理技術として農業経営・農産加工の分野で注目されており,その実績を紹介して好評であった本書に「溜め池等の直接浄化の事例」を加えて改訂版とした.

目次

 まえがき
 自然浄化処理関連の用語解説

 序

1. 生命を育む自然
 1.1 原始地球と生物の発展
 1.2 エネルギーの流れと物質循環
 1.3 バイオマスの概念
 1.4 生命の基本的性格と共通特性
  1.4.1 生命の基本的性格
  1.4.2 微生物の多様性と融通性
  1.4.3 動・植物生理と微生物

2. 有機物質処理への微生物の活用
 2.1 微生物の有機物変換作用
  2.1.1 分解
  2.1.2 凝集高分子化
  2.1.3 水の状態変化
 2.2 有機物の腐植化
  2.2.1 有機物の地上での分解
  2.2.2 有機物の土中での腐植化
  2.2.3 生成物の特性

3. 人為環境の形成と環境保全
 3.1 人為環境の形成
 3.2 土壌有機物と土壌微生物
 3.3 土壌有機物の土壌への影響
 3.4 微生物による有機廃棄物の変換利用

4. 微生物と家畜
 4.1 微生物利用による未利用資源の飼料化
 4.2 微生物による栄養素の再循環
 4.3 自然浄化処理と家畜飼育環境の改善

5. 自然浄化処理法による有機物や廃水の処理
 5.1 腐植物とその機能
  5.1.1 腐植化の進行
  5.1.2 微生物の活用
  5.1.3 腐植の分類
  5.1.4 自然の状態で行われる浄化
  5.1.5 微生物代謝産物と腐植前駆物
  5.1.6 自然浄化処理法における腐植化過程物質利用の特徴
 5.2 人為的浄化のスピードアップ
  5.2.1 汚泥の濃縮と分離
  5.2.2 汚泥の培養
  5.2.3 汚泥の返送と撹拌
  5.2.4 腐植化反応を抑制する必要のある場合
 5.3 真正土壌成分と活性土壌
 5.4 浄化の場への転移(環境の復元)
  5.4.1 真正土壌による浄化の場への転移
  5.4.2 好気と嫌気との調整
 5.5 浄化の場の維持
  5.5.1 環境の融合
  5.5.2 浄化の促進
  5.5.3 浄化の加速
 5.6 自然浄化処理法による汚水処理の構想
  5.6.1 汚水処理への応用
  5.6.2 土壌微生物群の誘導と培養
  5.6.3 培養汚泥の返送撹拌
 5.7 慣行活性汚泥法と自然浄化処理法の差異
  5.7.1 在来技術による有機廃水処理の問題点
  5.7.2 自然浄化廃水処理法の特色

6. 自然浄化処理法を活用した関連事業での事例
【事例・1】好熱菌による水産加工廃棄物の飼料化
【事例・2】気密サイロの高度利用による稲わらなどの準濃厚飼料化
【事例・3】家畜飲料水の改善
【事例・4】嫌気的処理による鶏糞の堆肥化
【事例・5】鶏糞特殊発酵堆肥の水稲栽培への活用
【事例・6】牧場における牛糞尿の資源化
【事例・7】大型肥育牛牧場における糞尿処理の実施
【事例・8】養豚場における高濃度の糞尿処理の実施
【事例・9】食品加工工場の臭気とハエの駆除
【事例・10】放流水による水産加工廃水に対する悪臭の除去
【事例・11】自然浄化処理法による処理水の利用と鶏糞の悪臭・ハエの駆除
【事例・12】自然流下式牛舎の糞尿処理における臭気対策
【事例・13】自然浄化処理法の産・学・官共同基礎研究
【事例・14】自然浄化処理法による簡易浄化槽汚泥の共同処理
【事例・15】高難度の食品加工廃水の処理施設
【事例・16】自然浄化廃水処理法による有機廃水の処理成果
【事例・17】特定嫌気性複合微生物資材を利用した、生態系発酵・脱臭・土地還元
【事例・18】嫌気性発酵菌の活用と農業分野における施用効果
 【18.1】野菜類の栽培
 【18.2】リンゴへの施用効果

7. 自然浄化処理法による農村環境の改善
 7.1 農村環境汚染の実態
  7.1.1 汚染の実態と従来の認識
  7.1.2 生産における環境負荷の増大
  7.1.3 消費における環境負荷の増大
  7.1.4 システム外への汚染環境の拡散
 7.2 微生物処理における廃棄物の利用と経済性
  7.2.1 自然浄化処理法における技術的優位性
  7.2.2 自然浄化処理法における経済的優位性
  7.2.3 生態系保全農業とエコロジカル・リサイクリング
  7.2.4 廃棄物利用への発想の転換
 7.3 農村環境の総合的な浄化
  7.3.1 浄化の場の拡散
  7.3.2 拡散における相乗効果
  7.3.3 小規模に分散する消費拠点への対応
 7.4 社会的合意の確立

8. 野外溜め池等の直接浄化の事例と考察
 8.1 環境汚染の公共分野へのしわ寄せ
 8.2 野外溜め池等の自然浄化
  8.2.1 土壌の自浄力
  8.2.2 活性土壌による滞溜汚水の直接浄化
  8.2.3 土壌の環境容量
  8.2.4 陸地の土壌と水中の土壌との相違
 8.3 自然浄化法による直接浄化の基本的方法
  8.3.1 活性化された土壌物質の池内への配設
  8.3.2 池の条件による配設の工夫
 8.4 野外溜め池等の直接浄化の実験
  8.4.1 環境汚染とは何か
  8.4.2 土壌環境における生物活性の効果
  8.4.3 環境汚染の検知
  8.4.4 自然浄化による野外溜め池の直接浄化
 8.5 野外溜め池等の自然浄化法による直接浄化実験の組み立て
  8.5.1 実験の目的とそのための指標
  8.5.2 指標の探索
  8.5.3 ここに引用した実用規模の実験概要
  8.5.4 実験によって確かめられた浄化の推移と指標
  8.5.5 水質分析指標との関係
  8.5.6 実験目的の具体化
 8.6 実用システム化の検討
  8.6.1 商品(契約)形態
  8.6.2 ハードシステム
  8.6.3 二次浄化材利用のシステム化

 まとめ
 あとがき
 参考文献
 索引