<鉄鋼技術の流れ 9>
構造用鋼の溶接
低合金鋼の諸性質とメタラジー
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上田 修三著 日本鉄鋼協会監修
ISBN4-8052-0553-9
A5判/424頁
\6,700+税
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概要
溶接構造用低合金鋼を中心に,主に溶接熱影響部での硬化や軟化,靭性低下,遅れ割れ,高温割れ,ラメラテアなど,さらに亜鉛脆化,腐食割れなどをはじめ,溶接性に関わる諸現象に注目し,その発生機構と対策を解説した.また,溶接メタラジーの視点から基礎的研究の進歩の過程を詳細に述べた.
目次
1.総論
1.1 鋼構造物への溶接適用の歴史
1.1.1 鋲・ぴん結合構造時代−高炭素高張力鋼の普及
1.1.2 溶融溶接法適用の始まり
1.1.3 高張力鋼への溶接の適用
1.2 溶接構造用鋼の研究開発の歩み
1.2.1 戦前〜戦後期の欧米の開発鋼種
1.2.2 社会情勢の変化−鉄鋼業・造船業の発展
1.2.3 高度経済成長期以降のわが国の開発鋼種
2.溶接構造用鋼の進歩と溶接部特性
2.1 船舶
2.1.1 商船用高張力鋼
2.1.2 深海潜水艇耐圧殻用高張力強靭鋼
2.2 圧力容器・水圧鉄管
2.2.1 圧力容器用高張力鋼
2.2.2 水圧鉄管用高張力鋼
2.3 低温容器
2.3.1 常圧冷凍式LPGタンク用低温用鋼
2.3.2 LNGタンク用9%Ni鋼
2.4 橋梁
2.4.1 高張力鋼の適用
2.4.2 超長大橋用TS 780N/mm2級高張力鋼
2.5 海洋構造物
2.5.1 石油掘削・生産用海洋構造物の種類と歴史
2.5.2 寒冷・深海構造用高張力強靭鋼
2.6 石油・ガスラインポンプ
2.6.1 非調質高張力鋼
2.6.2 溶接技術
2.7 ボイラおよび石油精製装置用圧力容器
2.7.1 ボイラドラム用鋼
2.7.2 石油精製装置用鋼
2.8 建築
2.8.1 高張力鋼と溶接の高能率化
2.8.2 溶接性改良TS 490N/mm2級鋼
2.8.3 低降伏比TS 590N/mm2級鋼
2.8.4 兵庫県南部地震による鉄骨構造の損傷
2.9 原子炉圧力容器
2.9.1 原子炉圧力容器用鋼
2.9.2 極厚鋼板の溶接
2.10 ロケットモータケース
2.10.1 ロケットの発達と使用鋼種
2.10.2 モータケースの溶接
3.溶接性関連の諸問題究明の歩み
3.1 硬化と低温割れ
3.1.1 硬化現象と推定炭素当量式
3.1.2 高張力鋼への溶接の適用と割れ問題
3.1.3 冷温割れ感受性試験法
3.1.4 溶接割れ感受性指標
3.1.5 低温割れと拘束外力
3.1.6 低温割れと水素集積
3.1.7 水素脆化の機構
3.1.8 低温割れと鋼中非金属介在物
3.1.9 低温割れと外気温度
3.1.10 低温割れ防止策
3.1.11 軟化現象
3.2 高温割れ
3.2.1 高温割れ現象
3.2.2 発生機構
3.2.3 合金元素および不純物元素の影響
3.2.4 溶接応力および外的付加変動応力の影響
3.2.5 高温割れ防止策
3.3 脆化
3.3.1 熱影響部の脆化現象
3.3.2 溶接ボンド部の微視組織と靱性
3.3.3 溶接ボンド部のフェライト粒微細化による靱性改善
3.3.4 島状マルテンサイト(M-A)による脆化
3.3.5 N,C,Si量の低減とNi量増加の強靭化効果
3.3.6 溶接熱歪脆化
3.3.7 溶接後熱処理による脆化
3.4 再熱割れ
3.4.1 再熱割れ現象
3.4.2 再生機構
3.4.3 感受性指標
3.4.4 割れ防止策
3.4.5 肉盛溶接部のアンダークラッド・クラッキング
3.5 溶融Znめっき割れ
3.5.1 高張力鋼のめっき割れ現象
3.5.2 評価試験法
3.5.3 材料因子
3.5.4 発生機構
3.5.5 割れ防止策
3.6 局部腐食と応力腐食割れ
3.6.1 局部腐食現象
3.6.2 応力腐食割れ現象−液安-、硝酸塩-、硫化物-環境
3.6.3 LPGタンク溶接部の硫化物応力腐食割れ
3.6.4 ラインパイプ溶接部の硫化物応力腐食割れ
3.7 ラメラテア
3.7.1 ラメラテア現象
3.7.2 感受性指標
3.7.3 評価試験法
3.7.4 ラメラテア防止策
3.8 クリープ脆化
3.8.1 クリープ脆化現象
3.8.2 実機での割れ損傷事故
3.8.3 脆化割れの発生機構
3.8.4 鋼材組成と応力除去焼なまし条件の影響
3.8.5 装置のクリープ強度解析
3.8.6 割れ防止策
3.9 ステンレス鋼肉盛溶接部の剥離割れ
3.9.1 剥離割れ現象
3.9.2 割れ防止策
3.10 疲労損傷
3.10.1 高張力鋼溶接継手の疲労特性
3.10.2 亀裂伝ぱ理論
4.溶接部の安全性評価方法の発達
4.1 脆性破壊
4.1.1 米国戦時標準船の大損傷事故と鋼板の靱性
4.1.2 破壊靱性
4.1.3 脆性破壊発生特性試験法
4.1.4 脆性破壊伝ぱ特性試験法
4.2 不安定延性破壊
4.3 鋼材の選定
5.溶接方法の発展
5.1 汎用溶融溶接方法と溶接材料
5.1.1 被覆アーク溶接法
5.1.2 グラビティアーク溶接法
5.1.3 サブマージアーク溶接法
5.1.4 ティグ、ミグ、CO2、マグアーク溶接法
5.1.5 セルフシールドアーク溶接法
5.1.6 エレクトロスラグ溶接法
5.1.7 エレクトロガスアーク溶接法
5.1.8 高能率施工法
5.2 わが国の造船業における溶接法の変遷
5.3 超高エネルギー密度熱源溶接法
5.3.1 電子ビーム溶接法
5.3.2 レーザビーム溶接法
参考図
年表、推移・変遷、主要記録の題目一覧
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