ニューエンジニアリングライブラリー

熱処理技術の選択

表紙
宮永 文吾著
鈴木 健司著
日本技術士会監修

ISBN4-8052-0461-3

A5判

144頁/\2,300+税



概要

熱処理技術は,金属工学,機械工学を中心に広い範囲にわたる技術を集結している.近年,熱処理技術が量産ラインに組み込まれ,また表面硬化処理が疲労強度向上の目的で使われるようになり,さらに金属材料の多様化と相まって,熱処理技術の選択は機械工業において重要な問題となっている.

目次

 まえがき

1. 熱処理に関する基本的事項
 1.1 熱処理とは何か
 1.2 熱処理によって何が変えられるか
  1.2.1 残留応力の除去
  1.2.2 変態――組織の変化
  1.2.3 マルテンサイト変態による硬化
  1.2.4 マルテンサイト変態による膨張
  1.2.5 恒温変態
  1.2.6 金属表面への他成分の浸透拡散
  1.2.7 時効硬化
  1.2.8 材料の接着
  1.2.9 粉末の焼結
  1.2.10 加工との組合せによる強化
  1.2.11 表面硬化
 1.3 金属の各組織とその機械的性質
  1.3.1 結晶粒度
  1.3.2 フェライト組織
  1.3.3 パーライト組織
  1.3.4 オーステナイト組織
  1.3.5 マルテンサイト組織
  1.3.6 テンパードマルテンサイト組織
  1.3.7 複合組織
  1.3.8 ベイナイト組織
 1.4 熱処理と残留応力
  1.4.1 熱処理による残留応力の発生
  1.4.2 残留応力の悪影響
  1.4.3 残留応力の利用

2. 熱処理の方法
 2.1 加熱方法
  2.1.1 加熱炉
  2.1.2 塩浴加熱
  2.1.3 誘導加熱
  2.1.4 その他の加熱方法
 2.2 加熱時の表面対策
  2.2.1 温度と表面酸化
  2.2.2 雰囲気ガスの利用
  2.2.3 塩浴の利用
  2.2.4 真空加熱
 2.3 冷却方法
  2.3.1 冷却剤の種類
  2.3.2 急冷度の把握
  2.3.3 H 値を上げるかきまぜの方法
  2.3.4 アキュムレーターの利用
 2.4 表面硬化処理
  2.4.1 高周波焼入れ
  2.4.2 浸炭焼入れ
  2.4.3 窒化処理およびその他の処理

3. 熱処理される材料の特性
 3.1 炭素鋼
  3.1.1 構造用炭素鋼
 3.2 機械構造用合金鋼材
  3.2.1 合金鋼の種類
  3.2.2 焼入性
  3.2.3 浸炭焼入れ用鋼材
 3.3 工具鋼
  3.3.1 炭素工具鋼鋼材
  3.3.2 合金工具鋼鋼材
  3.3.3 高速度工具鋼鋼材
 3.4 特殊用途鋼
  3.4.1 ばね鋼
  3.4.2 軸受用鋼
  3.4.3 ステンレス鋼
 3.5 鋳鉄
  3.5.1 ねずみ鋳鉄
  3.5.2 球状黒鉛鋳鉄
 3.6 非鉄金属
  3.6.1 アルミニウム合金
  3.6.2 チタン合金

4. 目的別の熱処理技術の選択
 4.1 永久変形の防止
  4.1.1 降伏点を高くすること
  4.1.2 サブゼロ処理
 4.2 ぜい性破壊の防止
  4.2.1 衝撃値の向上
  4.2.2 残留応力の緩和
 4.3 疲労強度の向上
  4.3.1 硬さと疲労強度
  4.3.2 疲労強度と残留応力
 4.4 疲労強度向上のための表面硬化
  4.4.1 有心焼入れ
  4.4.2 高周波焼入れ
  4.4.3 浸炭焼入れ
  4.4.4 窒化処理
 4.5 熱処理変形の防止
  4.5.1 加熱・冷却による変形
  4.5.2 変態膨張による変形の防止
  4.5.3 恒温変態の利用
 4.6 摩耗の防止
  4.6.1 潤滑された面の摩耗対策
  4.6.2 土砂による摩耗対策
 4.7 材料の接着
  4.7.1 ろう付け
  4.7.2 焼結
 4.8 加工工程における熱処理工程の位置
  4.8.1 切削加工と熱処理の順序
  4.8.2 熱処理工程のライン化
  4.8.3 浸炭焼入れと切削加工

5. 熱処理作業の品質管理
 5.1 材料の管理
  5.1.1 材料の履歴管理
 5.2 温度の管理
  5.2.1 温度計の管理
  5.2.2 炉内温度分布
  5.2.3 冷却剤の温度管理
 5.3 冷却の管理
  5.3.1 冷却剤の圧力と流量
  5.3.2 残留温度の管理
 5.4 加熱雰囲気の管理
  5.4.1 一般の焼入れの場合
  5.4.2 浸炭焼入れの場合
 5.5 焼割れの防止
  5.5.1 焼割れの検出
  5.5.2 焼割れ防止対策
 5.6 不良品混入の防止
  5.6.1 異種材料の混入
  5.6.2 処理済み品と未処理品の混入

6. 熱処理に関しての原価低減
 6.1 処理品の運搬の合理化
 6.2 加熱原価の低減
  6.2.1 加熱熱源の選択
  6.2.2 加熱方式の選択
  6.2.3 加熱時間の短縮
  6.2.4 鍛造焼入れの導入
  6.2.5 非調質強じん鋼の利用

7. 熱処理部品の設計
 7.1 部品にかかる力(応力)と材料の強さ
 7.2 質量効果と機械的性質
 7.3 質量効果による鋼種の選択
 7.4 冷却方法の選択(水焼入れか油焼入れか)
 7.5 熱処理部品の設計事例

 あとがき
 参考文献
 索引