エンドルフィン
脳がつくるアヘン
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C.F.レヴィンソール著 加藤 珪訳 大久保 精一訳
ISBN4-8052-0402-8
四六判
328頁/\2,500+税
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概要
体内モルヒネ様物質として知られるエンドルフィンは,鎮痛作用や陶酔感覚に関係しているだけでなく,脳の進化にも関わっているらしい.エンドルフィンを理解することは,人間の苦痛とか快楽といった心理的作用を,生化学によって解明することになるのかもしれない.
目次
前書き
第1部 エンドルフィン物語
第1章 楽園の乳、地獄の乳――アヘンの歴史
アヘンと中国貿易
イギリスのアヘン
アメリカのアヘン
モルヒネ、注射器、ヘロインの出現
鎮痛、習慣性、エンドルフィン
第2章 脳――進化の旅
ポール・ブローカと近代神経学の夜明け
進化しつつある器官、人間の脳
後脳と中脳――爬虫類脳の構造
爬虫類脳の遺産
古哺乳類脳の辺縁構造
新哺乳類脳の構造
第3章 脳の化学
脳のニューロン
シナプスと情報伝達の言語
薬物と脳の化学
精神分裂病の治療薬
鬱病と躁病の治療薬
不安の治療薬
脳の化学と未来
第4章 発見の時代――1971年〜1973年
発見の基礎――エイブラム・ゴールドスタインのアイディア
ジョンズ・ホプキンス大学のキャンデーシ・パートとソロモン・スナイダー
ニューヨーク大学のエリック・サイモン
スウェーデン、ウプサラ大学のラルス・テレニウス
現実と認識――プライオリティの問題(一番乗りは誰か)
第5章 発見の時代――1973年〜1979年
UCLA のリーベスキント・グループ
アバーディーンの男たち
C.H. リーおよびデレク・スミスの研究室
ゴールドスタインの研究室とダイノルフィン
秩序が見られ始める――1980年以降
発見の時代追記――1978年度ラスカー賞
第2部 エンドルフィンと進化
第6章 楽園への第一歩――痛みとの戦い
ストレス、痛み、エンドルフィン
エンドルフィンと原爬虫類の脳
ストレスとは何か
エンドルフィンによらない無痛覚の可能性
エンドルフィンと疼痛制御の解剖学
鍼治療におけるエンドルフィン
エンドルフィンと出産
第7章 楽園への第二歩――社会的安心感、疎外、耽溺
エンドルフィンと社会的安心感
エンドルフィンと自閉的行動
エンドルフィンと抑鬱症
エンドルフィンと長距離ランナー
強迫的ランニングと神経性拒食症
エンドルフィンとアヘン剤耽溺
エンドルフィンとアヘン剤耽溺の治療
第8章 楽園への第三歩――整合性と確実性の探求
アヘン剤受容体と新皮質における感覚のコード化
言語の神経解剖学
情動性とポール・S の注目すべき事例
右半球と、人間の言語における韻律の影響
自閉症と新哺乳類脳に関する注釈
エンドルフィンと疑惑の化学
第9章 楽園への一瞥――創造性と笑い
エンドルフィンとホモ・ルーデンス
刊行にあたって
参考文献
索引
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