炭酸ガスと地球環境の変遷

表紙
長尾 隆著
星野 常雄著

ISBN4-8052-0374-9

四六判

200頁/\2,000+税



概要

大気中の炭酸ガス濃度の増加は,主として化石燃料の燃焼に由来するものだろう.しかし,海洋からの補給や海洋への還元といったことについてはよくわかっていない.本書では,気候・古気候の変動に注目しながら,大気・海洋・生物の相互環境という問題のありかたを検討してみた.

目次

 序

第1章 大気中の炭酸ガス濃度の変化
 地質資料に見る炭酸ガスの役割
 地質時代の気候帯の特性
 大気と海洋、岩石圏などの間の炭酸ガスの移動

第2章 炭酸ガス濃度の変化による気候の変化
 温室効果
 炭酸ガス濃度の変化と気温日変化などの変化
 気候変動に対するアルベド変化の役割
 氷河の発生・発達・後退とアルベド
 乾燥型の低温と湿潤型の低温
 エネルギー輸送量の変化と環境
  エネルギー輸送の大量化
  大気のエネルギーと人間の精神活動
  エネルギー輸送路の変化と環境

第3章 炭酸ガス濃度と大気擾乱の変動
 台風によるエネルギー交換
  風台風
  雨台風
 低気圧によるエネルギーの輸送
  風低気圧
  雨低気圧
 湿舌による熱エネルギーの移動
 大気中の炭酸ガス濃度が増大したときの夏・冬の天候
  夏の気候の特性の予測
  冬の気候の特性の予測
 エルニーニョ現象に伴う天候の変動
  夏の天候
  冬の天候
 エルニーニョ出現年と炭酸ガス濃度増加の関係

第4章 後氷期における乾燥
 メソポタミアの気候変動
 エジプトの気候変動
 桜蘭付近の気候の変動
 各地の気候乾燥の原因
 氷期の湿度
 ピプシサーマル後の湿度分布

第5章 炭酸ガス濃度の変化に伴う植物の変化
 炭酸ガス濃度減少の植物と動物への影響の差
 植物への影響
 動物への影響
 海抜高度の変化による炭酸ガス濃度の変化と植物の変化
  山地での植物の立地
  山地での植物の躯体の大きさの実験
  高山のハイマツ
  高山の草花(お花畑)
 植物の進化と炭酸ガス濃度
  植物体の構造変化
  光合成の方式の変化
 植物躯体小型化の意味(スペンサーの法則)
 キク科、イネ科の大繁栄
 新緑と紅葉
 大気中の炭酸ガス濃度と植物の生産量
 大気特性と森林

第6章 炭酸ガス濃度の変化に伴う動物の変化
 動物の代謝エネルギー
 動物の運動エネルギー
 気温の日変化・年変化の振幅と動物
 大型動物の採食上の工夫
 バイオマス消費者としての動物の立場
 ラクダの家畜化とイスラエル
 ウマの進化と環境
  生活の転換
  脳容積の拡大と情報収集の変化
 食糧不足による大型動物の絶滅
 ホモサピエンスの登場
 海獣類の生活
  海水の温度と炭酸ガスの溶解
  クジラ類・海獣類の生存と活躍
  海獣の知能
 深層水の湧昇の原理
  風による湧昇流
  地形による湧昇流

第7章 炭酸ガス濃度の変化と人間の行動
 前章までのまとめ
 燃料の使用
 森林の伐採
  砂漠の拡大
  海洋との関係
 本書を終わるにあたって
 ホモサピエンスの行方

 あとがきに代えて
 参考文献一覧
 索引