<毒性試験講座 11>

発生毒性

表紙
福田 英臣編
林 裕造編
和田 攻他編

ISBN4-8052-0331-5

B5判

頁/\13,592+税



概要

本講座は420名におよぶ第一線の研究者の学際的な協力により,トキシコロジーを最新の視座から体系化し,基礎から実際までを具体的に解説した.1〜3までを「総論」とし,毒性試験の企画,実施,成績の評価に必要な一般的問題と4〜18に入れにくい事項について解説.また,この部門は,毒性試験に直接関与しない人々にも好個の参考になるので,特に記述を平易にした.4〜14までは「基本理論と技術」とし,各試験法の理論的解説と,個々の具体的な手法を専門分野別に記述.15〜18までは「毒性評価の実際」とし,1〜14を基礎にして,与えられた被験物質について毒性試験を企画,実施し,その結果を評価する際の問題点を具体的に解説した.

目次

1 生殖・発生毒性の歴史と定義
 1.1 先天異常と実験奇形学の歴史
 1.2 生殖・発生毒性試験と公式試験指針の変遷
 1.3 生殖・発生毒性などの定義
  1.3.1 先天異常と先天奇形
  1.3.2 先天異常学
  1.3.3 催奇形性
  1.3.4 胎児毒性
  1.3.5 発生毒性と生殖毒性

2 正常発生の基礎知識
 2.1 哺乳動物の生殖生理
 2.2 哺乳動物の個体発生概説
  2.2.1 分割(卵割)から胚盤胞の形成まで
  2.2.2 着床
  2.2.3 原腸胚期――胚盤の形成
  2.2.4 原始線条期
  2.2.5 神経胚期
  2.2.6 咽頭胚期
  2.2.7 胚葉の分化
  2.2.8 胚子・胎児の外表の発達
  2.2.9 胎齢の推定
  2.2.10 新生児の分化状態
  2.2.11 胎盤と胎膜
 2.3 主要器官の正常発生
  2.3.1 中枢神経系、眼
  2.3.2 循環器
  2.3.3 泌尿生殖器
  2.3.4 呼吸器、消化器、内分泌器官
  2.3.5 運動器

3 生殖・発生毒性の医学・生物学的基礎
 3.1 先天異常の原因
  3.1.1 先天異常と発生異常
  3.1.2 個体発生における「遺伝」と「環境」
  3.1.3 発生異常の原因別推定比率
 3.2 環境因子による発生異常の成立
  3.2.1 哺乳動物における生殖・発生毒性の特徴
  3.2.2 発生異常成立の諸原則
 3.3 奇形の発生病理
  3.3.1 分子・線胞レベルの一次障害
  3.3.2 病的発生過程
  3.3.3 形態形成異常の表現型
 3.4 生殖・発生毒性の薬物動態学
  3.4.1 生殖・発生毒性と薬物動態学
  3.4.2 薬物の胎児移行
  3.4.3 薬物の生殖器移行
  3.4.4 薬物の乳汁移行
 3.5 発生の薬理学
  3.5.1 発生(発達)に伴う生理機能の変化
  3.5.2 薬物感受性又は薬物受容体の変化
  3.5.3 発生段階のモデルとして培養筋を用いる研究
  3.5.4 発生段階を薬理学的研究に利用するもの
  3.5.5 培養標本の利点を生かすもの
 3.6 生殖・発生毒性の構造活性相関
  3.6.1 サリドマイドの催奇形性
  3.6.2 ビタミン A 及びその関連物質(レチノイド)の催奇形性
  3.6.3 抗けいれん薬の催奇形性
  3.6.4 殺虫剤(カルバメート及び有機リン剤系)の催奇形性

4 生殖・発生毒性試験法指針とその国際調和
 4.1 現行生殖・発生毒性試験法指針の概要
  4.1.1 生殖・発生毒性試験法指針の方式
  4.1.2 3節生殖・発生毒性試験法指針
  4.1.3 多世代生殖毒性試験法
  4.1.4 催奇形試験法
  4.1.5 行動発生毒性試験法
 4.2 医薬品の生殖・発生毒性試験の国際調和
  4.2.1 各国指針の相異点
  4.2.2 指針の国際調和の動向
  4.2.3 現時点における日本の立場
  4.2.4 CMR レポートと EC の指針案

5 生殖・発生毒性試験の実際
 5.1 試験企画
  5.1.1 動物種・系統の選択
  5.1.2 動物数
  5.1.3 投与方法
  5.1.4 投与量
  5.1.5 対照
  5.1.6 投与期間
  5.1.7 試験検査項目及び検査時期
  5.1.8 試験規模
  5.1.9 試験計画書の作成
  5.1.10 GLP(Good Laboratory Practice)
 5.2 試験動物種の選択
 5.3 動物の飼育
  5.3.1 環境温湿度
  5.3.2 照明
  5.3.3 騒音
  5.3.4 飼育ケージ
  5.3.5 給餌及び給水
 5.4 交配方法と妊娠判定
  5.4.1 ラット及びマウス
  5.4.2 ウサギの交配
 5.5 試験物質の投与
  5.5.1 投与物質の調製と性状
  5.5.2 投与経路の選択
  5.5.3 投与方法
  5.5.4 投与量の選択
 5.6 親動物の観察と検査
  5.6.1 一般状態の観察
  5.6.2 体重測定
  5.6.3 摂餌量及び摂水量の測定
  5.6.4 剖検
  5.6.5 その他の検査項目
 5.7 胎児検索法
  5.7.1 外形
  5.7.2 骨格
  5.7.3 内臓
 5.8 分娩の準備と観察
  5.8.1 一般飼育管理上の留意点
  5.8.2 分娩の準備
  5.8.3 分娩の観察
  5.8.4 児に関する用語について
 5.9 出生児の観察と哺乳
  5.9.1 母動物の哺育状態の観察
  5.9.2 離乳前における出生児の一般観察
  5.9.3 出生児の身体的発達の検査
  5.9.4 出生児の初期行動発達の検査
  5.9.5 離乳
 5.10 生後観察法
  5.10.1 行動及び生殖能の検査
  5.10.2 免疫系の検査
 5.11 非げっ歯哺乳類を用いる試験
  5.11.1 サル
  5.11.2 イヌ
 5.12 データ整理と統計処理
  5.12.1 試験データ発生過程での制御とその収集
  5.12.2 試験結果の整理
  5.12.3 統計解析
  5.12.4 コンピュータを用いたデータの処理
 5.13 記録及び標本の保管
  5.13.1 生データの記録
  5.13.2 資料(記録及び標本)の保管・管理とその検索
 5.14 発生異常の背景データ
  5.14.1 特性
  5.14.2 数理統計学的特性
  5.14.3 背景データの変動要因
  5.14.4 有用性と限界

6 特殊な生殖・発生毒性試験の技術
 6.1 精巣及び精子の検査
  6.1.1 通常の試験において実施すべき検査
  6.1.2 その他の検査
  6.1.3 精子毒性検査を目的とした試験
 6.2 卵巣及び受精卵の検査
  6.2.1 排卵検査法
  6.2.2 受精卵移植法
  6.2.3 受精卵の染色体標本作製法
 6.3 In vitro 試験
  6.3.1 in vitro 試験の必要性とその条件
  6.3.2 組織培養法
  6.3.3 器官培養法
  6.3.4 全胚培養法
 6.4 ヌードマウスへの移植試験
  6.4.1 材料と方法
  6.4.2 移植組織の生着と発育分化
  6.4.3 移植組織の外因に対する感受性
  6.4.4 本実験系の有用性と欠点
 6.5 羊膜内注射試験
  6.5.1 羊膜内注射の意義
  6.5.2 羊膜内注射試験の方法
  6.5.3 羊膜内注射試験の応用と評価
  6.5.4 羊膜内注射法の問題点
 6.6 動脈管収縮作用試験
  6.6.1 動脈管検査法
  6.6.2 抗炎症剤投与による胎児動脈管収縮
 6.7 乳母哺育と人工哺育法
  6.7.1 帝王切開による胎児の摘出法
  6.7.2 乳母哺育法
  6.7.3 人工哺育法
 6.8 乳汁分泌検査
  6.8.1 哺育児に哺乳させる方法
  6.8.2 機械的に搾乳する方法
 6.9 新生児投与法
  6.9.1 腹腔内投与
  6.9.2 静脈内投与
  6.9.3 経口投与
  6.9.4 皮下投与
 6.10 作用機序の生化学的試験
  6.10.1 生化学と発生事象
  6.10.2 細胞の分化――その捉え方――
  6.10.3 生化学的試験の事例
  6.10.4 生化学的研究の特色
 6.11 薬物動態試験
  6.11.1 生殖・発生毒性と薬物動態試験
  6.11.2 薬物胎児移行性試験
  6.11.3 薬物の生殖器移行性試験
  6.11.4 薬物の乳汁移行性試験
 6.12 非哺乳類を用いる試験
  6.12.1 非脊椎動物による試験
  6.12.2 無脊椎動物による試験
  6.12.3 今後の課題と展望
 6.13 生殖・発生毒性試験と関連するその他の毒性試験
  6.13.1 優性致死試験法
  6.13.2 経胎盤発がん試験

7 成績の評価とヒトへの外挿
 7.1 評価と外挿の基本的な考え方
 7.2 生殖・発生毒性の特性、評価と外挿の困難性
 7.3 科学的真実性の検討
 7.4 作用機序と薬物動態の研究
  7.4.1 作用機序の探究
  7.4.2 薬物動態の研究
 7.5 多の動物種における生殖・発生毒性の比較
 7.6 ヒトへの外挿
  7.6.1 生殖・発生毒性の外挿の原理
  7.6.2 ヒトへの外挿について考慮すべき事項
 7.7 定量的評価への試み
 7.8 よりよい評価と外挿のための努力
 7.9 要約

8 報告書、論文のまとめ方

9 生殖・発生毒性情報の調査
 9.1 公表文献集
  9.1.1 Catalog of Teratogenic Agents
  9.1.2 Chemically Induced Birth Defects
  9.1.3 その他の単行本と総説
 9.2 系統的文献検索
  9.2.1 手作業による文献検索
  9.2.2 コンピューターによる文献検索
 9.3 先天異常学及び生殖・発生毒性学の参考書

 索引