<毒性試験講座 8>

薬物依存,行動毒性

表紙
福田 英臣編
林 裕造編
和田 攻他編

ISBN4-8052-0328-5

B5判

頁/\6,311+税



概要

本講座は420名におよぶ第一線の研究者の学際的な協力により,トキシコロジーを最新の視座から体系化し,基礎から実際までを具体的に解説した.1〜3までを「総論」とし,毒性試験の企画,実施,成績の評価に必要な一般的問題と4〜18に入れにくい事項について解説.また,この部門は,毒性試験に直接関与しない人々にも好個の参考になるので,特に記述を平易にした.4〜14までは「基本理論と技術」とし,各試験法の理論的解説と,個々の具体的な手法を専門分野別に記述.15〜18までは「毒性評価の実際」とし,1〜14を基礎にして,与えられた被験物質について毒性試験を企画,実施し,その結果を評価する際の問題点を具体的に解説した.

目次

I 薬物依存

1 薬物依存総論
 1.1 薬物依存とは
  1.1.1 依存の種類とその状態
  1.1.2 薬物依存症
 1.2 依存性薬物の種類
  1.2.1 薬理学的分類
  1.2.2 使途による分類
  1.2.3 身体依存能の有無による分類
 1.3 薬物乱用
  1.3.1 薬物乱用の歴史と現状
  1.3.2 薬物依存および乱用の弊害
 1.4 依存性薬物の規制
  1.4.1 国際的規制
  1.4.2 国内における規制
 1.5 依存と受容体
  1.5.1 依存形成と受容体
  1.5.2 摘出モルモット回腸標本におけるモルヒネ1回投与の効果
  1.5.3 オピオイドに対する摘出モルモット回腸標本の依存形成
  1.5.4 依存形成とオピオイド受容体
  1.5.5 依存形成とアデニル酸シクラーゼ
 1.6 依存の形成機序
  1.6.1 精神依存の形成機序
  1.6.2 身体依存の形成機序

2 薬物依存各論
  (化学および体内動態、薬理作用および毒性、耐性、依存性)
 2.1 オピオイド
  2.1.1 受容体サブタイプと依存性
  2.1.2 モルヒネおよび麻薬性鎮痛薬
  2.1.3 ペンタゾシンおよび拮抗性鎮痛薬
 2.2 中枢抑制薬
  2.2.1 バルビツレート
  2.2.2 ベンゾジアゼピン類
  2.2.3 アルコール
  2.2.4 有機溶剤
 2.3 中枢神経系刺激薬
  2.3.1 アンフェタミン
  2.3.2 コカイン
  2.3.3 ニコチン
  2.3.4 カフェイン
 2.4 精神異常発現薬
  2.4.1 LSD
  2.4.2 テトラヒドロカンナビノール
  2.4.3 フェンシクリジン

3 依存性試験
 3.1 依存性試験の考え方
  3.1.1 依存性試験を行う必要がある薬物、ない薬物
  3.1.2 薬理作用プロフィールによる試験法の選択
  3.1.3 試験の使用動物
  3.1.4 投与経路、投薬条件
  3.1.5 ヒトでの試験
 3.2 精神依存性試験
  3.2.1 強化効果
  3.2.2 自覚効果
   (1) 動物
   (2) ヒト
 3.3 身体依存性
  3.3.1 マウス、ラット
  3.3.2 イヌ、サル
 3.4 試験成績の評価
  3.4.1 前臨床成績の評価
  3.4.2 臨床成績の評価
  3.4.3 依存性評価のまとめ

II 行動毒性

1 行動毒性
 1.1 行動毒性とは
 1.2 行動毒性と生化学
  1.2.1 MTPT とドーパミン系
  1.2.2 行動毒性と内因性ドーパミン様物質
  1.2.3 行動毒性とセロトニン系
  1.2.4 性行動の異常とセロトニン、カテコールアミン系
 1.3 行動毒性と神経学的変化
  1.3.1 興奮性神経毒
  1.3.2 モノアミン細胞毒性物質
  1.3.3 アセチルコリンニューロン毒性物質
  1.3.4 エネルギー代謝阻害物質
  1.3.5 軸索輸送阻害薬
  1.3.6 神経軸索毒性物質
  1.3.7 神経髄鞘毒性物質
  1.3.8 神経グリア細胞毒

2 行動毒性試験の概要
 2.1 行動毒性試験の方法
  2.1.1 行動毒性
  2.1.2 行動の種類と化学物質の行動に対する影響検索法
  2.1.3 実験動物の選定
  2.1.4 投与形態
  2.1.5 行動毒性の機序
  2.1.6 行動毒性検索の試験に求められる条件
 2.2 一般行動観察による方法
  2.2.1 無脊椎動物
  2.2.2 脊椎動物
 2.3 学習行動による方法
  2.3.1 行動毒性学
  2.3.2 非学習行動と学習行動
  2.3.3 オペラント行動の毒性試験への応用
 2.4 オペラント行動を指標とした薬物反復投与試験例
  2.4.1 耐性
  2.4.2 退薬症候
  2.4.3 神経毒性

3 各種行動毒性の検索
 3.1 運動機能毒性
  3.1.1 運動機能障害を呈する疾病の種類
  3.1.2 化学物質による運動機能障害のタイプ
  3.1.3 化学物質の運動機能障害検出法
  3.1.4 オペラント行動による運動障害の検出
 3.2 感覚機能毒性
  3.2.1 感覚機能毒性検索のための行動毒性学的試験法
  3.2.2 視覚機能毒性検索のための行動毒性学的試験法
  3.2.3 聴覚機能毒性検索のための行動毒性学的試験法
  3.2.4 嗅覚機能毒性検索のための行動毒性学的試験法
  3.2.5 味覚機能毒性検索のための行動毒性学的試験法
  3.2.6 触覚機能毒性検索のための行動毒性学的試験法
  3.2.7 痛覚機能毒性検索のための行動毒性学的試験法
 3.3 学習記憶毒性
  3.3.1 学習
  3.3.2 記憶
  3.3.3 学習・記憶に影響を与える化学物質
 3.4 継世代的行動毒性
  3.4.1 条件回避反応および自発運動活性からみた変化
  3.4.2 特定薬物に対する感受性の相違からみた変化
  3.4.3 神経化学的所見よりみた変化
  3.4.4 行動異常の発現機序

4 行動毒性研究の今後の課題

 索引