地人選書36>

巨大分子雲と恐竜絶滅

表紙
薮下 信著

ISBN4-8052-0289-0

四六判/184頁

\1,845+税



概要

銀河(太陽系が属する星の集団)と彗星それに地球上の生命は,お互いが無関係であるとするのが従来の考えだった.恐竜の絶滅を巨大分子雲の遭遇によるものとする著者は,自身の研究のほか各分野の最新の研究成果をもとに,銀河,彗星,生命の三つがお互いに関係していることを解きほぐした.

目次

プロローグ

第1章 銀河の中の彗星
 銀河とは
 銀河の構造
 太陽系の運動
 巨大分子雲
 彗星
 氷の昇華の割合
 彗星は太陽系から失われる
 オールトの雲
 可視彗星は恒星によって供給される?
 彗星は銀河重力場が支配する
 彗星雲は定常か?
 なぜハレー彗星には水が多い?
 彗星核はたまねぎ構造を持つ

第2章 宇宙のチリから生命へ
 オパーリンのシナリオ
 ミラーの実験
 高温だった原始地球
 ホイルの生い立ち
 理論天文学への転向
 原子核天文学と理論天文学研究所
 大学からの辞任
 星間塵の正体
 星間塵バクテリア説
 微生物の減光特性
 測定はバクテリア説を否定
 星間塵は有機物ではない
 炭素クラスター
 星間塵は炭素クラスターか?
 星間塵は中空のグラファイト

第3章 地球のカタストロフィの記録
 地球上での生命の歴史
 整一説の支配
 ユーリーの計算
 イリジウム地層の発見
 衝突天体の大きさを推定する
 隕石中のイリジウム
 生物に及ぼす影響
 核の冬のシナリオ
 生物絶滅は周期的に起こる?
 死の女神ネメシス
 ネメシスは存在するか?
 恒星が彗星雨の原因?
 周期性は正しいか?
 地球カタストロフィを支配する巨大分子雲?

第4章 巨大分子雲が恐竜を絶滅させた
 氷河期とは
 長いタイム・スケール
 氷フィード・バック
 ミランコヴィッチ説
 日照量の増加が氷河期の原因?
 アクリション説
 マックリー仮説
 火山噴火説
 星間雲の中のチリ
 火山噴火とどこが違うか?
 白亜紀末の大変動
 大気中の酸素の減少
 イリジウム層の厚さ
 分裂する巨大彗星が原因?
 ミニ彗星が原因?

 エピローグ
 あとがき
 参考文献一覧
 索引