被験者保護ハンドブック

アメリカIRBの活動
表紙
R.A.Greenwald他著
阿岸 鉄三訳
今里 嘉夫他訳

ISBN4-8052-0262-9

A5判

384頁/\9,600+税



概要

“ヒト被験者を対象とする生態研究”を審査するアメリカの特別な委員会の活動状況を多角的に分析紹介.わが国でも医系大学・病院に“医学倫理委員会”が設立されているが,まだその機能が十分発揮されているとは言いがたい.生命の倫理の問題がクローズアップされている今日,本書の刊行は意義深い.

目次

第I部 背景と一般原則

第1章 ヒトを対象とした研究に対する法的規制の影響の進展
 歴史的な出来事
 悪弊の背景
 国家委員会
 境界問題
 研究の定義
 危険性と有益性の比率
 同意主義
 同意前の手順
 最近の若干の進展
 謝辞

第2章 IRB の法的背景
 歴史的概観
 IRB 委員の責任

第3章 IRB の編成
 IRB が有する権限の根拠
 IRB 委員の責任と選出法
  委員長
  その他の研究所側委員
  一般人すなわち地域代表者
 委託 IRB 審査と地域連絡評議会
  委託審査
  IRB 連絡協議団体
 IRB の利用できる施設側の資源

第4章 IRB の費用
 ニューヨーク州立大学オールバニー校における経費
  費用の計算
  IRB の活動
  会議費用
  管理費
  総費用
 他の研究施設における費用
 最近公表された規則の影響
 結論
 要約
 謝辞

第II部 審査手順

第5章 IRB 審査の一般的原則
 IRB 審査の構成要素
  科学的メリット
  被験者の公正な選択
  危険・利益比率
 信頼性
 一般人委員の役割

第6章 IRB の審査手続き
 規制の順守
  順守状況審査の歴史
  認可請求の正式提出
  研究認可の必要条件
 IRB 審査の範囲
  学生による研究
 意志決定過程
  全 IRB 審査か小委員会審査か
  再審査請求と二次審査
  審査手続き・審査会議・採決
 議事録・継続審査
 研究者に対する通知
 研究者の審査会議への出席
 広告の審査
 IRB メンバーへの報酬
 被験者への補償
 複数の研究計画への参加
 結論
 謝辞

第7章 十分説明したうえでの同意
 同意の準備
 同意の構成要素
 同意書の体裁
  補償条項
  金銭的負担
  被験者への支払い
  付加条項
 ミニマル・リスク、口頭同意、迅速審査
 同意書式の配置
 立会人の署名
 理解しやすさ
 結論

第8章 治験用新薬に関する研究
 薬事法の由来
  サリドマイドとジエチルスチルベステロール
  新薬に潜在する危険性
 医療職員委員会の役割
 治験用医薬品とは
 治験用医薬品の出所
 治験薬使用に関する管理手続き案
  投薬指示の自動的停止
 一般的管理手順
  入院患者における研究や治療の場合
  診療所の外来患者についての研究や治療の場合
  私費患者についての研究や治療の場合
 薬剤師の役割
 結論

第9章 医療機器に関する研究
 歴史的あらまし
 規制を免除される医療機器
 IRB の役割; 危険性の判定
 危険性が低い医療機器
 危険性の高い医療機器
 IRB,スポンサーおよび研究者の責任
  IRB の責任
  研究者の責任
  同意書の必要事項
  スポンサーとスポンサー・研究者の責任
 関連分野
  十分説明したうえでの同意
  秘密保持
  治療試験実施上の問題点
  医療機器を審査する IRB の能力
  医療機器の特質
  医療テクノロジーの未来の発展に及ぼすインパクト
 結論

第10章 治療研究の継続審査
 概要
 審査の必要条件に関する論争
 審査手続きでの恩恵
 研究審査の方法
 IRB 審査の目標
 政府と人間治療試験の監査
 実践上の問題点
 審査のメカニズム
 審査結果
 結論

第III部 特殊問題領域

第11章 小児が関与する研究
 危険/有益率の査定
  1. 最小危険度だけの研究
  2. 最小危険度より大きな危険を含むが、
    個々の被験者への直接の利益が期待されている研究
  3. 個々の被験者に直接の利益は期待できないが、被験者の障害や状態について
    一般化できる知識が得られる見込みのある、最小危険度より大きな危険性を
    伴う研究
  4. 小児の健康や福祉に影響を与えている重大な問題を理解、予防、あるいは
    緩和する機会をもたらす、他の場合ならば承認されない研究
 承諾と受諾
 小児の承諾
 治療手段と非治療手段

第12章 癌治療の研究
 はじめに
 研究計画
 利害のバランス
 臨床被験者の研究資格
 十分説明したうえでの同意
 被験者の公正な選出
 傷害に対する補償
 一般的考察

第13章 外科の研究
 外科的研究の必要性
 臨床試験
 共同研究; 多施設臨床試験
 研究の危険・利益比率と外科的危険
 外科治療に用いられる医療器具
 外科研究におけるTRBのモニタリング機能
 研究に用いられる外科切除標本
 結論

第14章 新薬の臨床試験に関連する特殊問題
 投薬の停止
 試験終了後期間の同意書への記入
 試験薬投与停止の影響
  感情的反応
  好ましくない転帰”反跳現象”
  遅発性副作用
 プラセボの使用
 プラセボ効果
 プラセボ対照
 プラセボ研究を審査する際に考慮すべき要因

第15章 精神医学研究
 同意資格の評価法
 精神科患者の同意資格
 自由意志の問題
 同意の代替方式
  代理同意
  同意手続きにおける第三者の活用
 秘密保持
 同意書式/同意手続き
 医師・患者関係
 不完全な情報打ち明け
 IRB の役割

第16章 IRB ならびに社会科学研究の規制
 緒論
 社会科学研究の潜在的危険性
  だまし行為・不完全な情報公開
  プライバシー・秘密
  不当な利用
  研究の倫理原則; 社会科学研究における諸問題
 今日までの証言
 社会科学者の付加関心事
 問題にかかわる別の考え方

 説明つき文献目録

 付録

1 歴史的資料
 ニュルンベルク法典
 ヘルシンキ宣言

2 連邦規制

3 連邦政府関連書式
 DHEW 研究者申請書
 研究課題の承認申請
 同意書サンプル
 IRB 審査委員のチェックリスト
 治験薬使用申請書
 治験薬申請書
 ロングアイランド医療センター研究開始報告書

4 研究の特殊領域のための同意書サンプル
 小児を対象とする研究の同意書サンプル
 癌研究の同意書サンプル
 精神科患者の参加する研究の同意書サンプル
 実験的侵襲性術式の同意書サンプル
 実験的医療器具の開発研究の同意書サンプル
 新薬の実験的使用研究の同意書サンプル
 患者との感情状態評価インタビューを含む研究の同意書サンプル
 患者の親族関係者との感情状態評価インタビューを含む
  研究の同意書サンプル

 索引