天体の位置計算

増補版
表紙
長沢 工著

ISBN4-8052-0225-4

A5判

264頁/\2,000+税



概要

プログラム電卓,パソコンなどの普及によって,今まで専門家のものとされていた「位置天文学」が,身近なものとなった.本書の構成・指示にしたがって,恒星や,太陽・月・惑星等の位置を自らの手で計算し,その基礎理論を理解することにより,自分のための“観測年表”を作ることも可能になる.

目次

1 はじめに

2 天球座標
 2.1 赤道座標系(赤経、赤緯座標)
  2.1.1 赤道座標系の決め方
  2.1.2 角度の表示法
 2.2 地平座標系(高度、方位角座標)
 2.3 観測点の経緯度
  2.3.1 緯度、経度による位置の表わし方
  2.3.2 地図上の経緯度
  2.3.3 測地経緯度と天文経緯度
 2.4 赤道座標系と地平座標系の関係
 2.5 恒星時
  2.5.1 恒星時の計算
  2.5.2 グリニジ平均恒星時の計算
 2.6 赤道座標から地平座標への変換
  2.6.1 赤道座標から地平座標への変換方式
  2.6.2 象限の決め方
 2.7 方向余弦と座標系の回転
  2.7.1 方向余弦
  2.7.2 座標系の回転
 2.8 天球座標の方向余弦表示
  2.8.1 赤道座標の方向余弦表示
  2.8.2 地平座標の方向余弦表示
  2.8.3 赤道座標と地平座標の関係
  2.8.4 行列の計算

3 恒星位置のずれ
 3.1 固有運動による恒星位置のずれ
  3.1.1 固有運動の発見
  3.1.2 固有運動速度と視線速度
  3.1.3 固有運動による恒星位置の変化
  3.1.4 ベッセル年
 3.2 歳差による赤経、赤緯の変化
  3.2.1 春分点とその移動
  3.2.2 歳差運動
  3.2.3 歳差による恒星座標の変化
  3.2.4 恒星の平均位置
 3.3 章動による赤経、赤緯の変化
  3.3.1 章動の発見
  3.3.2 章動の内容
  3.3.3 章動の計算
  3.3.4 章動による恒星座標の変化
  3.3.5 恒星の真位置
 3.4 視差による恒星位置のずれ
  3.4.1 視差の原理
  3.4.2 恒星視差の発見
  3.4.3 視差による恒星位置の変化
  3.4.4 補間法
 3.5 光行差による恒星位置のずれ
  3.5.1 光行差の原理
  3.5.2 光行差の発見
  3.5.3 観測者の運動と光行差の関係
  3.5.4 光行差の種類
  3.5.5 年周光行差による恒星位置の変化
  3.5.6 e 項について
  3.5.7 年周光行差の厳密な補正法
  3.5.8 恒星の視位置
  3.5.9 日周光行差
 3.6 極運動の恒星位置への影響
  3.6.1 天文経緯度の変化
  3.6.2 極運動の発見
  3.6.3 極運動の観測
  3.6.4 極運動による天文経緯度の変化
  3.6.5 地平座標の正確な計算
 3.7 大気による恒星位置のずれ
  3.7.1 大気差の原理
  3.7.2 大気によるずれの角
  3.7.3 大気差による恒星位置の変化
 3.8 恒星位置のまとめ
  3.8.1 位置計算式のまとめ
  3.8.2 体系的な視位置の計算

4 いろいろの時刻系
 4.1 恒星時系
  4.1.1 地球による恒星時時計
  4.1.2 各種の恒星時
  4.1.3 ユリウス恒星日
  4.1.4 恒星時の決め方
 4.2 世界時系
  4.2.1 世界時
  4.2.2 各種の世界時
 4.3 暦表時系
  4.3.1 天体力学における時刻
  4.3.2 暦表時
  4.3.3 暦表時の決め方
  4.3.4 暦表時の使用について
  4.3.5 ベッセル年初
  4.3.6 時刻引数としての暦表時
 4.4 国際原子時と協定世界時
  4.4.1 原子時
  4.4.2 秒の長さ
  4.4.3 協定世界時
 4.5 無線報時
 4.6 時刻系のまとめ

5 2体問題による惑星、彗星などの位置の概算
 5.1 黄道座標系(黄経、黄緯座標)
  5.1.1 黄経、黄緯
  5.1.2 黄道座標と赤道座標の変換
 5.2 2体問題と楕円軌道
  5.2.1 楕円
  5.2.2 楕円軌道
 5.3 楕円軌道上の天体の位置
  5.3.1 公転周期と平均運動
  5.3.2 ケプラーの方程式
  5.3.3 軌道上の位置
 5.4 日心直交座標系で表わした天体の位置
  5.4.1 日心直交座標系
  5.4.2 軌道要素
  5.4.3 軌道面の xy 座標から日心直交座標への変換
 5.5 地心座標系で表わした天体の位置
 5.6 惑星光行差による位置のずれ
  5.6.1 惑星光行差の原理
  5.6.2 惑星光行差による天体位置のずれ
  5.6.3 2体問題による計算位置について
 5.7 双曲線軌道上の天体の位置
  5.7.1 双曲線
  5.7.2 双曲線軌道
  5.7.3 双曲線軌道上の位置
  5.7.4 双曲線軌道に対する離心近点角の求め方
 5.8 放物線軌道上の天体の位置
  5.8.1 放物線
  5.8.2 放物線軌道
  5.8.3 放物線軌道上の位置
  5.8.4 放物線軌道に対する真近点角の求め方
 5.9 2体問題の計算式のまとめ

6 地球上の観測点の位置
 6.1 地球楕円体
  6.1.1 ベッセルの楕円体
  6.1.2 地球楕円体上の位置
 6.2 経緯度、高さと直交座標系の関係
 6.3 地球の重心と東京測地系の関係
 6.4 地心赤道直交座標系による観測点の位置

7 2体問題からの発展
 7.1 人工衛星の位置
  7.1.1 人工衛星の軌道要素
  7.1.2 接触軌道要素
  7.1.3 地心座標系による人工衛星の位置
  7.1.4 観測点から見た人工衛星の位置
 7.2 月の位置の略算
  7.2.1 月の運動理論
  7.2.2 月の位置の略算法
 7.3 太陽の位置の略算
 7.4 惑星位置の略算
  7.4.1 金星、火星、木星、土星の日心黄道座標の略算
  7.4.2 地心座標への変換
  7.4.3 水星、天王星、海王星、冥王星の日心黄道座標の略算

8 おわりに

9 新しい計算システム
 9.1 システム変更までのあらすじ
 9.2 歳差の計算式
 9.3 章動の計算式
 9.4 春分点の補正
 9.5 基本星表 FK4 および FK5 との関係
 9.6 力学時の採用
 9.7 増補のおわりに

 参考書について
 問題の解答
 さくいん