<地人選書 9> コンピュータの影の法則
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K.ヒューマリッヒ著 P.ゴラ著 大江 秀房訳
ISBN4-8052-0205-X
四六判/272頁
\1,300+税
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概要
われわれは知らず知らずのうちに,コンピュータ社会の網の目に組み込まれている.その弊害を他人事として傍観するわけにはいかないのが現状である.オンライン化,コンピュータ化によるマイナス効果を,本書は八つの「影の法則」としてまとめ,未来に対する提言を与えている.
目次
第1章 現代人のアイデンティティ
影を売り渡した男
忍び寄るコンピュータ化の波
永遠にテープの上に
ガラス張りの人間
コンピュータへの侵入実験
ジョージ・オーウェルの逆ユートピア
まちがっているのはコンピュータ
コンピュータなるがゆえのミス
コンピュータの信頼度
あわや核戦争が
コンピュータのもたらす偏見
データ処理がもたらす憂うつ
影を握るは力なり
アイデンティティを取り戻す
コンピュータの独り舞台
人間らしさへの道標
考えるコンピュータ
第2章 自分の知らないうちに
真実は亀の歩みのごとし
いったんリストにのると
同姓同名なるがゆえの災い
個人情報の請負人シュファー
銀行にとっての顧客の条件
すべてが不確かなままに
銀行による二重のチェック
見えざる手の中で
個人情報収集レース
データの真偽を試す
第3章 あなたの住所は売られている
名うてのデータ収集屋
父なる国はみずから甘い汁を吸う
懸賞のわな
データの影を売るヤミ市
誰も知らないなんてなんとすばらしい!
広告洪水から逃れる方法
第4章 プログラミングにご用心
人事管理情報システムの真の教訓
粉砕されたデータ偏重主義
自分証明書の功罪
ブラックリストはこうして作られる
業績リストの使い方
どんなミスも許されない
誤った情報が破局をもたらす
第5章 コンピュータ未来学――ホームオートメーション
コンピュータ社会を占う
キャッシュレス時代
ホームショッピングとホームバンキング
テレファックス――姿を消す郵便屋さん
スクリーンテキスト
双方向有線テレビ――G. オーウェルのテレスクリーンと化すか?
もう独りにはなれない
回線を切れば公民権が奪われる
OA 革命のゆくえ
アッという間に注文通りの靴と背広、そして恋人が
コンピュータの自己増殖
第6章 コンピュータ犯罪アラカルト
盗まれた磁気記憶装置
コード(暗号)を手に入れる
架空の受け取り人
漏らされたデータ
ずさんに扱われる使用済データ
人間なるがゆえの弱さ
架空の入金
コンピュータに侵入した小さな悪魔たち
軍事機密のスパイ合戦
コンピュータの反乱
屈折した愛
第7章 コンピュータ・コルセットの中の自由
とぎすまされた爪の中で
データバンクが死刑台と化すとき
人間らしい目測もなしに
憲法擁護局の隠れた顔
盗聴された愛のささやき
データ収集狂はとどまるところを知らず
データ保護へ向けて
指紋自動識別システム
ミスターコンピュータ
監視されるがままに
危険な走査パターンによる犯人の割り出し
信頼性の欠落
ぬれぎぬ
第8章 半神と化したコンピュータ
カルテの添え書きは悪魔の印
情報処理の一大同盟
コンピュータ化される健康カード
手をつなぐ社会保険業者
社会保険データネットワークにおける守秘義務
コンピュータ医療の限界と今後の展望
第9章 データづけがもたらす教育の荒廃
学齢期から始まるデータ収集
児童保護連盟とは名ばかり
「一時的なデータ」が「永遠のデータ」と化すとき
データによる差別
学校行政へのコンピュータ導入は何をもたらしたか
第10章 プライバシーの危機
独身でいる権利
「届け出義務」から「届け出権利」へ
忍びよる個人標識番号制度
個人情報への枠づけ
追跡用コンピュータの失態
新しい身分証明の方法
政治家はどこまで個人データを自由にできるか
第11章 火薬桶をかかえているコンピュータ
国勢調査の目的
情報産業は花ざかり
押し寄せる合理化の波
自由の剥奪者と化すとき
第12章 コンピュータの影を追って
人間は科学技術を超えられるか
最悪の事態を阻止するために
訳者あとがき
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