現代の数理科学シリーズ 2>

計算物理(II)

表紙
薮下 信著

ISBN4-8052-0181-9

A5判

296頁/\2,600+税



概要

『計算物理(T)』に続き,本格的なシミュレーションとして「銀河の力学と渦状構造」と「彗星の力学進化」の問題を取り上げる.例題とは直接関係しない分野の読者にとっても,その考え方・手法は貴重なサンプルになるだろう.他に応用範囲の広い常微分方程式と偏微分方程式の数値解を解説.

目次

序章 計算物理のこれから

第1章 偏微分方程式の数値解法
 1.1 拡散方程式
  1.1.1 はじめに
  1.1.2 拡散方程式
  1.1.3 陰・差分方程式
  1.1.4 インプリシット法の行列
  1.1.5 インプリシット法の安定性
  1.1.6 二次元領域での拡散方程式
  1.1.7 地球内部の熱伝導
  1.1.8 数値計算例
 1.2 ポテンシャル方程式
  1.2.1 ラプラス方程式とポアッソン方程式
  1.2.2 ディリクレ問題
  1.2.3 酔歩によるディリクレ問題の解
  1.2.4 ポアッソン方程式の数値解法
 研究課題

第2章 銀河の力学と渦状構造
 2.1 銀河の構造
  2.1.1 銀河とは
  2.1.2 銀河の形態
  2.1.3 渦状構造
  2.1.4 渦状構造のメカニズム
 2.2 リンドブラードの N 体計算
  2.2.1 周天円運動
  2.2.2 分散リングの理論
  2.2.3 分散リングの計算
  2.2.4 分散リングは安定か?
  2.2.5 運動方程式の積分
  2.2.6 分散リングともう一つのリングの相互作用
  2.2.7 分散リングのつくる構造
  2.2.8 相互作用するリングと渦状構造
 2.3 連続体近似理論
  2.3.1 密度波理論
  2.3.2 基礎方程式
  2.3.3 ポアッソン方程式の解
  2.3.4 有限円板のポテンシャル
  2.3.5 銀河モデル
  2.3.6 トーモアの銀河モデル
  2.3.7 ハンターの銀河モデル
  2.3.8 土星の環の安定性
  2.3.9 微小振動に対する線形化
  2.3.10 行列要素の計算
  2.3.11 フランシスの QR 法
  2.3.12 計算結果
  2.3.13 ジーンズの重力不安定性
 2.4 銀河の大域的な渦状構造
  2.4.1 はじめに
  2.4.2 行列形式による定式化
  2.4.3 微分回転と銀河モデル
  2.4.4 計算の進め方と結果
  2.4.5 恒星のランダム運動と銀河の安定性
  2.4.6 銀河のハーロー
 2.5 超多体問題
  2.5.1 計算法
  2.5.2 一様回転銀河モデル
  2.5.3 指数分布モデル
  2.5.4 固定した重力場
  2.5.5 見えない物質
  2.5.6 おわりに
 研究課題

第3章 彗星群の力学進化
 3.1 力学進化の意味
  3.1.1 進化とは
  3.1.2 進化の重要性
 3.2 彗星とは
  3.2.1 彗星のコマ
  3.2.2 テイル
  3.2.3 彗星の核
 3.3 惑星摂動の計算
  3.3.1 統計的取扱いの必要性
  3.3.2 天体の軌道要素
  3.3.3 軌道要素の摂動
  3.3.4 放物線近似による 1/a の摂動
  3.3.5 δ(1/a) の計算
  3.3.6 変形ベッセル関数
  3.3.7 計算のプログラム例
  3.3.8 カウエル・クロムメリン計算との比較
  3.3.9 角運動量 h と傾斜角 i の摂動
 3.4 エネルギー摂動の統計
  3.4.1 軌道要素の分布
  3.4.2 エネルギー摂動の平均値
  3.4.3 エネルギー摂動の大きさ
  3.4.4 モンテ・カルロ法による仮想彗星の発生
  3.4.5 土星の摂動
 3.5 太陽系からの脱出
  3.5.1 決定論的扱いは不適当
  3.5.2 彗星脱出の割合の計算
  3.5.3 計算のプログラム例
  3.5.4 計算結果の解釈
  3.5.5 彗星の蓄積
 3.6 周回数を通して考える
  3.6.1 サムエルソンの方程式
  3.6.2 サムエルソン方程式の解
  3.6.3 N-1/2 法則
 3.7 短周期への進化
  3.7.1 直接シミュレーション
  3.7.2 解析的な結果
  3.7.3 観測との比較
 3.8 エネルギー分布の進化
  3.8.1 はじめに
  3.8.2 原初 1/a の分布
  3.8.3 1/a 分布の進化の計算
  3.8.4 1/a 分布の進化
  3.8.5 1/a 分布の進化の意味
 3.9 拡散近似による取扱い
  3.9.1 拡散近似とは
  3.9.2 拡散方程式の解
  3.9.3 グリーン関数
  3.9.4 拡散近似での彗星数の変化
 3.10 彗星近日点の分布は一様か?
  3.10.1 問題の発端
  3.10.2 彗星近日点の重心
  3.10.3 近日点分布の検定(一様性)
  3.10.4 彗星近日点分布の検定(太陽運動との関係)
 3.11 恒星による摂動
  3.11.1 恒星との遭遇確率
  3.11.2 衝撃近似
  3.11.3 衝撃近似の精度
  3.11.4 恒星摂動の統計
  3.11.5 放物軌道の摂動
 研究課題

第4章 カウエル法による常微分方程式の解
 4.1 常微分方程式の数値解
 4.2 カウエル法
  4.2.1 差分と微分演算子
  4.2.2 運動方程式
  4.2.3 初期設定
  4.2.4 積分の進行
  4.2.5 天体軌道計算への応用
  4.2.6 恒星摂動の計算プログラム例
 研究課題

 参考文献
 あとがき
 さくいん